夫に「用事も片付いたから、明日美容院に行くわ」と話したら、夫が「美容院って、X駅の近くのとこやったっけ?」と聞くので「いや、Y駅の近くに変えたよ、2年くらい前に」と答えると「なんで?」と普段美容院など気にもしていない夫が驚いていた。
X駅の美容院はわりと気に入っていた。担当の人もお洒落で綺麗で感じがよかったし、美容師と客という感じでなくて、普通に友人の一人としてカフェでお茶できそうな人だった。なのに、なぜ変えたかというと、結局仕上がりに満足できなかったからなのだ。私の髪は、太くて多くて堅くて、変な癖がついている。で、何年も前からちょっと長めのショートカットにしているのだが、X駅の美容院でカットしてもらった直後でも、髪がおさまらず頭が四角く、まるで肩の上にテレビが乗っかっているようになる。で、次に行くと「髪が膨らんで四角くでっぱった感じになるので、そこをナントカして欲しい」と希望を伝えるのだが、結局同じ。そういうことが繰り返されて、とても担当者のことが好きだったけれどもお店を変えることにしたのだ。こういうとき、私は意外と決断が早くて、あまり情をひきずらない。やっぱりアットホームでお洒落なインテリアの美容院でも、カットが気に入らないと続かない。で、今の美容院、2年は続いている。担当者は地味だけど真面目で感じがよいし、カットも気に入っているし(夫によると違いがわからないらしいが)、暫くはここに通うつもりである。
結婚後何度か住むところが変わっているので、その度に美容院を探すのは、結構大変だった。有名なところも行ってみたけれども、東京、横浜時代に落ち着いたのは、いずれも男性が隠れ家みたいな場所でたった一人でやっているお店だった。シャンプーもカットもすべて一人でするので、他のお客を見ることがない。店内は、かかっている絵からサランラップのカバー、置いている雑誌に至るまで男性の「好きなもの」だけで構成されていて、ものすごく濃い世界観を見せつけられるのだが、そういうのが結構好きなのだ、店として流行のツボをおさえたインテリアよりも、個人の趣味に走っている感じのほうが好き。関西ではこういうスタイルのお店はなかなか見つけられない。あまり遠いのも面倒くさいし、高いのも困る。でも見つけたら行ってみてもいいかなと密かに思っている。
いつもシャンプーしてもらうときに、「洗い足りないところはございませんか」「お痒いところはございませんか」って聞かれる。あったとしても、「ここ痒い」などと言えるものなのだろうか。というか、言った人が今までいたのだろうか。聞いてみたいけれども、微妙な質問のため、まだ誰にも聞いたことがない。
美容院の外を出たら真夏だった。なんか、もう、わーっと叫びたくなるくらい暑かった。