先日の話。暑いので、なんとなく電車の座席も間隔をあけて皆座っている。つめればもう一人くらい座れても、この暑さ、密着するくらいなら立つよって感じである。この日は、幸いにも一人分空席があったので、座る。発車前にだだっと人が乗り込んでくる。80代くらいの杖をついた男性が席を求めてやってきた。男性は杖を持っていない右手が不自由な感じだった。「どうぞ」と言って立って席を譲った。が、この男性はすぐに座らない。でも、片手を上げて私に謝意は示すのだ。後ろを振り返るので、男性の視線の先を見ると、携帯でメールを打ちながら歩いてきた、50代くらいのジーンズにサンダルの女性が近づいてくる。男性の連れだった。そして、男性が空いた席を指差すと、女性は携帯の画面から一度も顔をあげずに無言でその席に座った。私の隣の男性も、むかえのレーンの女子高生も、そのほかの人もこれに少し驚いた。歩きながら携帯メールを打てる人を、この高齢の杖を持った男性が先に座らせようとする理由が知りたいところ。これで男性が座るスペースはなくなった。男性は揺れる車内で立って上手くバランスが取れないようである。別の男性が立って、この男性に改めて席を譲った。
この男性は、普段からこの女性に世話になっているからなのか、レディファーストなんやろか、とか「余計なお世話な」想像をする。夫に話したら「どうでもいいやん、最終的に杖の高齢者が座れたからええやん」と返事。まぁそうなんだけど。あの連れの女性は気にならないのか、とか考えてしまう。揺れる車内を前も見ずに歩きながら、携帯メールを打てる彼女だけなら席を譲る人はいないだろう。でも、高齢で杖を持った人に席を譲る心の余裕は誰でもある。この二人の関係はよくわからない。親子なのか、夫婦なのか。そう思った人は他にもいたと思う。正直言って、ちょっと釈然としなかったから、ブログに書いたのだった。
今日も暑くなりそう。