Lは、妹がイギリス留学時代の友人で香港の人である。ここ4年で去年の夏を除いて3回の夏は日本に来ている。Lが趣味でやっているお稽古事を、さらに極めたいということで4年前の夏に来日してレッスンを受けてから、日本にはまったみたいで、翌年にまた来日、次の年はイギリスで休暇、そして今年の夏の休暇また来日となったのだ。今回の来日前にメールがきて、「この日とこの日、都合のいいときにディナーどうですか」となったので、こちらでアレンジする。今までのLとの食事は、わが家で鉄板焼き、回らないすし屋、道頓堀のグリコを見ながら串かつと食ってきたのだが、妹情報によるとLは「どっちかというとposhでartyなのが好きやから(原文そのまま)」ということなので、夫が「次はディープな下町でお好み焼きや!」と主張していたものの、今回のテーマが「posh and arty」なため却下することに。
食べ物屋さんで「posh and arty」(ちょっと上品ぶって気取ったお店、と解釈した)っていまいちわかっていないのだが、OLさんが喜びそうな店にしよか、となって、心斎橋のLの宿から近い場所で探す。で、夫婦では死んでも行かなさそうなモダン和食のレストランになる。大きなお皿にちょこっと前菜とか、そんな感じみたい。Lはエントランスでおおはしゃぎ。「素敵!」って興奮している。黒い大理石の床に、黒の革張りのソファ。周りは若い女性ばっかり。お料理はメインの手前まではよかったのだが、メインは味が濃すぎた。で、最後に全てを台無しにするような破壊的なデザートが出てきて、止めを刺された。テーブルのテンションが下がる。やっぱりかぁ、こういう店はあかんな、って実感する。
Lも『インセプション』を観たということ。いろいろコメントしてくれた(ネタバレあり):
-ラストシーンは、あれはまだディカプリオは夢の中のままだと思う。で、彼はそのことに気づいていない。
-あの日本人の俳優って有名なの?(有名やよ!でも、彼じゃなくてもいいと思わん?という私の質問に対して)ああ、言ってる意味わかる。もうちょっと彼が活躍できる余地があったらいいのにって感じ。でもいい俳優だよ。
-特撮とか、夢をストーリーに使うのは面白かった。ただ、メッセージが多すぎる。もうちょっと絞ったほうがよかったと思う。せっかくいいアイディアだから。
とのこと。Lはディカプリオだったら『シャッターアイランド』のほうがお勧めとのこと。あと、「トイ・ストーリー」は「感動的だった」らしい。
2軒目カフェに行って、地下鉄の駅まで送っていって解散。L、おみやげありがとう。もしよかったら、また来てね。
(改札を通るL。右から2番目。)
帰りに夫がモダン和食の店をぼろかすにこき下ろす。「あんな店、若い女の子を騙すだけの店やん。大袈裟な盛り付けしよって。デザート不味すぎやろ」と怒りまくっていた。今度Lが来たら、焼肉かな。Lは気を使ってくれて「いいお店だね」って言うてたけど。デザートって、大切だと思う。デザートがいいと食事がいまひとつでも許せるし。今回はコースが進むにつれて食事が失速していって、最後のデザートに撃墜されてしまった。
ダメだし:(毒吐きまくっています。ごめんなさい。)
食器が大きいだけで、中途半端な感じ。高く見える安物のお皿。こんなの使うくらいなら、安くてももっとシンプルでさっぱりしたお皿にすればいい。
盛り付けは、ハワイアンカクテルのような感じ。お魚に線香花火が突き刺してあっても驚かない。唐突で、バブル。
デザートは作らなくていいから、お蜜柑1つとかでいい。その分浮いたコストで、いい料理人を雇ったらどうだろう。