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ヒマラヤスギ雑記

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ミラクルボディのその後

オリンピック開幕前にNHKがボルト選手と内村選手の肉体の秘密を取材した番組、『ミラクルボディ』が放送されたのだが、昨日は一部同じ映像を使いながら、この二人の結果をふまえた上でロンドンオリンピックの映像を挟んで再編集してスペシャル番組にしていた。彼らの肉体がいかに素晴らしいかということについては、既に書きまくったので、繰り返さないけれども、改めて彼らの金メダル獲得までの軌跡を見ると新たに思うことがあった。

ボルト選手は、金メダル獲得後のインタビューで、本当はものすごく緊張していたこと、スタートで失敗したらどうしようと思っていたこと、プレッシャーは半端なかったことなどを率直に語っていた。北京五輪のときと異なり、観客の視線は自分だけに注がれていることをボルト選手は、十分にわかっていただろう。「ボルトは本当に2連覇できるのか?」という決して好意的でない視線だって多いはずだ。そんな中、スタートに立つのはどれほど恐ろしいか。彼は実際に1カ月前のジャマイカ国内の五輪選抜レースでブレイク選手に負けて2位で五輪に来ているのだ。失敗するかもしれない、そういう思いがよぎっても不思議ではない。

フライイングをしないこと、勝負にでるのは50Mから、と必死で自分に言い聞かせてボルト選手はスタートの合図を待つ。スタートの反応時間は8人中5位であるが、50Mあたりからぐんぐん加速し、トップスピードは時速45キロを記録して、優勝した。優勝したときの走りのスタートは、側湾症の影響かやはり足が内側に入り込んで美しいスタートとはいえなかったが、彼は最後は自分の力を信じたという。インタビューに答える彼は、ものすごい重圧から解放された顔だった。もう100Mは出場しないんじゃないかと昨日の顔を見て感じた。ボルト選手ほど恵まれた体を持っていても、オリンピックの金メダルは心身を限界まで追い込まないと届かないのだろう。でも思ったのは、ボルト選手は背骨の不調があるからこそ、2連覇できたのじゃないかということ。すべての条件が完ぺきにそろった状態で物事に取り組めることなど皆無だろう。なにか弱点があれば、それを補おうとする努力が全体を強くするのかなということ。ボルト選手が金メダルを獲れてよかった。

そして番組後半は内村選手の五輪を追った。内村選手はとてもクールな人だと思っていたけれども、違っていた。彼のような絶対的金メダル候補でも、やっぱり五輪は特別だった。それは4年に1度しか開催されないということもある。失敗しても「次」に出れるかどうか本人ですらわからないから。なんといっても次は4年後なのだ。だから気負ったり、委縮したりしてしまうのが、オリンピックに「魔物」がいると言われるゆえんだろう。

内村選手は、個人総合で最初の種目のあん馬をミスなくまとめてから、やっと本来の自分に戻れたという。そこからは調子をあげて、美しくぶっちぎりで優勝した。最後のインタビューで、オリンピックで金メダルをとるのは本当に過酷で難しいとコメントしていた。そして、オリンピックで金メダルをとると周囲がとても元気になることがわかった、と続けた。内村選手の言うとおり、金メダルって別格なのかもしれない。魔力がある。選手の人生のある期間を、オリンピックの神様のためだけに捧げても、神様は気まぐれで、最後の最後まで誰に金メダルを授けるか決めていないのかもしれない。それをボルト選手のように同じ選手が2度以上獲得するというのは、とてつもないことである。

スポーツの勝敗について、メンタルを議論にあまり持ち込むべきではないと思うのだが。この二人は同じことを言っていて「最後は自分を信じた」ということだった。やるだけやったら、あとは自分をどれだけ信じられるかどうかが大切なのかなと思う。あくまで、十分すぎる努力が前提だけれども。改めてこの二人の競技中の気持ちなどがわかって、よかった。そろそろ五輪については書くのはやめなくては。
by himarayasugi2 | 2012-08-17 07:43 | スポーツなど | Comments(0)
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