ケンが我が家にきてもう4年近い。ケンの性格はかなりわかっている。最初にドッグシェルターの方から、「この子は人にも犬にも優しいのです」とはきいていて、確かに手におやつを載せて食べさせるときも、歯が人間の手のひらにあたらないようにそおっと優しくおやつだけを咥えとるのだ。どんなにおなかがすいていても、がぶっとならないで、歯をあてないようにする。それは以前ドッグカフェで知り合った人も、なんて優しい食べ方をするんでしょう、と感激していたのでやっぱり優しいのだと思っている。
ケンは特にしつけなくても、ソファとかベッドには絶対に上がらない。それは怖いからであって、前の飼い主に躾けられたからかどうかは不明である。いわゆるハイパーテンションな犬ではないから、めったなことでは跳びついたりもしない。なのでテーブルに足をかけたりも絶対にないのだ。そう躾けられたというよりは、そういうテンションが低めの性格なんだと思う。私たちがケンに新たに教えたことといえば、外から戻って家にはいるときは足を拭くまでは上がってはいけないということである。最初はものすごく抵抗していたけれども、最近は足を拭くまでちゃんと玄関のたたきで「まだですか」みたいな顔で待っていてくれる。
そういう一見、聞きわけのよいケンだが、頑固で聞き入れてくれなくてこちらが折れたこともある。1階の寝室の侵入である。いくらフェンスを置いても、ドアをしめても留守中は障害物を突破して侵入し、人間が帰ってくる音がしたら慌てて2階に戻ってしれっとした顔をすることを何度も繰り返した結果、ケンは寝室の出入りを勝ちとった。ケンがずるいのは、解禁される前は人間が家にいるときは決して寝室に入らなかったのに、解禁されてからは堂々と一人になりたいときなどずっと寝室にこもっている。前はだめだったけど、今はいいということをちゃんとわかっているのだ。で、最近は寝室の床におもちゃを並べ出して、うっかり朝などベッドから降り立ったときに踏んづけそうになるので、おもちゃは2階のおもちゃ籠にしまうことにした。そうするとケンはどうするかちょっと観察してみた。
(朝、散歩に行く前に寝室のぬいぐるみをすべて2階の籠に片づける)
(朝散歩から戻ってヤギミルクを飲んだ後に、ドナルドを連れて1階へ行ってしまう)
(お昼にきびなごをもらってから1階へ昼寝に戻るときにベイブを連れていく。)
(次に上がってきたときに、ケロを連れていった。)
(最後はプー。結局、夕方には4つとも1階の寝室に集合した。)
ケンにとってはぬいぐるみは寝室が定位置のようで、家の中を移動するときは一緒なのだ。戻るときも大抵一緒に戻るのだ。このあたりはすごく頑固で、何を考えているのかといつも不思議である。
無関係ながら:昨夜、久々に東野圭吾のミステリードラマを視聴した。戸田えりか(漢字失念)の演技が怖いくらいうまかった。