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ヒマラヤスギ雑記

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いまいちの読後感/たかじん

年末に買っていたジェフリー・ディーヴァ―の新作『シャドウ・ストーカー』を読み終わる。リンカーン・ライムシリーズの第一作『ボーン・コレクター』から、キャサリン・ダンスシリーズもいれて、今まで毎年欠かさず新作を読んできた。途中、何冊かシリーズとは無関係の短編集も2冊くらいは読んでいる。今回の新作は、☆をつけるとしたら、五つ星のうち二つ半くらいの読後感である。なんというか、ディーヴァーのプロットに悪い意味で慣れたのかなぁと。他のアマゾンのレビューも読んでみたら、私と同じように感じた人も少数だけどいらっしゃった。年始の恒例のお楽しみが、今回は「ふーん」という感じ。

ディーヴァーの作品は大どんでん返しで有名なのだが、話の途中で残りのページ数から「もう一回どんでん返しくるな」とか「これは伏線だな」などなど先が読めるようになり、急激に冷めてしまうのだ。ツイストが最低でもどのシリーズでも2度入るために(本作では小さなツイストをいれると3回はあった)、途中のツイストでは冷めた感じでさっさとページを早送りしてしまう。特にキャサリン・ダンスシリーズの今作品は、ツイストをあらかじめ設定していて、それに合わせて話をつないでいるだけのような印象だった。物語自体よりもどんでん返し構成が前面に出ていた。ラストのとってつけたような感じもあまり…。

あと、主人公のキャサリン・ダンスという人物が魅力的でない。ディーヴァーは女性の心理描写を丁寧に書きこもうと試みているのだけど、陳腐な印象。ダンスの恋愛をサイドストーリーによく入れてくるけど、不要。ディーヴァーには、純粋に推理小説に徹してほしい。同じことがリンカーン・ライムシリーズのアメリア・サックスの心理描写にもいえる。かなり退屈。女性の描写がいまいちなのに対して、リンカーン・ライムの人物描写はとても面白い。頭の回転の速さ、驚愕の知識量、洞察力、厳しさ、ちょっとスパイシーな物言い、を伴うライムは、とても魅力的で圧倒的だ。身近にいるライムを思い浮かべてしまうくらい、ライムの描写はリアルなのだ。それに対して、女性の描写が画一的で陳腐なのには驚く。みな、美しくて、頭が切れて、勇気があって、男にもてて、仕事ができるのだ。こういう女性を主人公にしておけば無難、といわんばかりに。

あと、今作でストーカーに狙われる人気カントリー歌手の歌詞を巻末に載せていたけど、ディーヴァーほどカントリー歌手に思い入れのない不良読者の私は、見もしなかった。ディーヴァーは、文芸的なものも書けることをアピールしたかったのかも。しかしディーヴァーファンというのは、ガッチガチのミステリーを期待していると思う。

どちらかというと、リンカーン・ライムのように、微小証拠から分析して、一歩、一歩、犯人に近づいてゆく様式のほうが好きかな。とはいっても、また新作が出て、それがリンカーン・ライムシリーズだったら、読まずにはおれないんだろうけど。魅力的な作家ではある。でも、本作みたいなのが何冊か続いてしまうと、スカーペッタシリーズのように読むのをやめるかもしれない。

ディーヴァーが映画『007 白紙委任状』の原作を書いているので、それは映画を見てから読みたい。きっと大どんでん返しのすごいのが2度ほど入るんじゃないかと期待。

次手に取るは、面白いらしいと勧められた本である。『薔薇の名前』っぽい系統の話らしい。わくわく。面白かったらなんか書く。あ、文献も読まなくでは。

たかじん:
朝起きたらテレビは「やしきたかじん訃報」一色だった。たかじんは、東京が嫌いで大阪でしかテレビにでなかったのに、全国ネットでもたかじんの訃報を報じていた。なんだかんだ言って、テレビに出ている人はたかじんが羨ましかったのではないだろうか。スポンサーに気を使うことなく、言いたいことを言いたいようにずばっと本音で言うことは、たかじんだから許されていたのだ。たかじんはきれいごとは絶対に言わない。でも、毒舌のようで、実は思いやりのあるコメントをしていたのも覚えている。たかじんは、ほんと、関西のテレビの良心だと思う。たかじんにコメントしてもらいたいことが、まだまだ沢山あったのに。64歳なんて、早すぎる。R.I.P.
by himarayasugi2 | 2014-01-08 08:10 | 本など | Comments(0)
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