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ヒマラヤスギ雑記

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ファントム

すでにフィギュアスケートのシーズンが始まっている。といっても、テレビの報道やネットニュースの後追いで結果をチェックして、日本選手を中心に気になるプログラムの動画をチェックするくらいだけど。今年は、浅田真央選手も休養ということだから、グランプリシリーズが始まっても、去年のようにテレビで見やすい時間帯に放映はしてくれない。そんな中、先週から日本の男子選手は大活躍している。先週のスケートアメリカでは町田樹選手が完全優勝を果たし、今週のスケートカナダでは、無良選手が逆転優勝した。その無良選手が逆転したフリーのプログラムが『オペラ座の怪人』で、そういえば、先シーズンは鈴木選手もこの曲をフリーで使っていたことを思い出した。と、今シーズンは、羽生選手に村上選手もこの曲をプログラムに使用していることを知る。他にもいるのかな。とにかく『オペラ座の怪人』は、大人気である。

まずは無良選手の完璧だったスケートカナダでのフリー、『オペラ座の怪人』を動画でチェックする。実は、無良選手の演技は、今まで目にしていても、個性などはわかっていなかった。わりとガタイのいい選手といった印象くらいで。彼のファントム、とてもよかった。日本の男子フィギュアの選手は、ほっそりした感じの人が多い中、無良選手は、かなりがっしり、男っぽい体格で、そういう体格の人がオールバックに燕尾服に白と黒の手袋をつけると、かなり「ファントム」になる。無良選手のコスチュームは、ぱっとみレイヤードがちょっと重そうな、普通の燕尾服に見えて、それが余計に彼を、ファントムらしく見せるのだ。

私が見た『オペラ座の怪人』のファントムは、映画でも舞台でも、内面に複雑なものを抱えた大人の男として描かれている。無良選手の男っぽい滑りは、そのイメージに合っていたと思う。ジャンプが雄大で、迫力があり、決まると有無を言わさぬ感じ。あと、ファントムの顔半分を隠している白い仮面を白手袋で表現していたのも、よかったと思う。スピンは伸びしろがある感じだけど、ボーカルの箇所と振付もはまっていて、ファントムの哀しさが伝わってくる演技だった。

で、他のファントムも見たくなり、調べたところチャン選手と高橋選手も既に『オペラ座の怪人』でフリープログラムを滑っていたことが判明する。2011年のチャン選手のファントムもよかった。特にステップが濃密で、感情表現として成立していたと思う。高橋選手は、2006年に滑っているのだけど、さすがに若くて、私がイメージするファントムではない。衣装も当時の高橋選手に似合うようにタキシードを若向きにアレンジしたもので、曲が流れていないとファントムを演じていることがわかりにくい感じ。『オペラ座の怪人』はスケーターに人気だけど、それはきっとあのエモーショナルなフレーズだとか、盛り上がりとかが振付に効果的であり、演技者も感情移入ができるから、というのもあるとは思うが、ただ、ファントムは演じる人を選ぶと思う。ある程度「男」(少年でなく、若さよりも男性性が前に来ている感じ?)であるほうが演じやすいのではないだろうか。

今シーズンは、羽生選手もファントムをやるらしい。『ロミオとジュリエット』のロミオのイメージが記憶に新しい彼が、どういう解釈でファントムを滑るのかが興味がある。無良選手のファントムとどう違うのかとか、そこが楽しみである。羽生選手はファントムをやるには若いと思うけど、それをいい意味で裏切るプログラムを期待している。

チャン選手と無良選手のファントムは、それぞれの個性がいい形で表現されていると思う。チャン選手はステップのところが、無良選手は、やはりあの豪快なジャンプが最大の魅力である。衣装については、白手袋の演出が粋な無良選手がよかった。ファントムのような誰もが知っている主人公を演じるのは、難しいと思う。しかし、もし選手の中に眠っている、まだ本人も気づいていない魅力が、その役柄と反応し、外へと表現されれば、観客を魅了するはまり役となり、名プログラムとして残ると思う。

無良選手が、次も素晴らしいファントムを演じますように。優勝おめでとうございます。

スケートカナダで優勝した無良選手のファントム:ジャンプが大きくてかっこいい!白手袋もいい!ラストの小さくなってゆくスピンもなにげに好き。
http://www.youtube.com/watch?v=hcEraM0pnSI
チャン選手の2011年のファントム:4分30秒すぎからのステップは、情熱的でほんとにいい。ひたすらうまいと思った。
http://www.youtube.com/watch?v=bqukDncI51s
by himarayasugi2 | 2014-11-04 08:58 | スポーツなど | Comments(0)
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