2年くらい前、原稿の締め切り直前のある日の朝、パソコンを起動させたら、画面全部がブルー1色になったっきり、そのまま終焉を迎えたことがあった。恐怖の「ブルースクリーン」である。スクリーンがブルー1色になると、サイバー空間の池をのぞいているみたい。金沢21世紀美術館のスイミングプールのようでもある(特に必要のない喩え)。とても静か。泣きたくなる。パソコンの最後は、突然やってくる。
大慌てで、予備のパソコンをバックアップ用のハードディスクに接続しなおして、そのまま続きを完成させて、なんとかロンブンは提出できた。あのときほど、バックアップの存在に感謝したことはなかった。普段から、途中の文書ファイルは、1日の終わりにバックアップファイルを、Gメールで自分宛に送っていたが、それ以外の資料ファイルなどにもアクセスできなかったら、ものすごく大変だったので、よかったと思っている。毎晩バックアップを自動でとるように夫が設定してくれているのと、作業中のファイルは、クラウドにも保存するようにしている。ファイル名は、「ケンキュウ0525」みたいに、内容を示す記述のあとに日付をわかるように入れたり、「ケンキュウRev2」みたいに、修正何回目(この場合は2回目)かを入れたりしている。夫になんで前のファイルを消さないのかと訊かれるが、あとから、やっぱりあの箇所は必要だ、みたいになることも多々あるので、とりあえず経過はおいておくのだ。
教室でバックアップファイルについてみなで喋っていたとき、そういうことを思い出していた。某先輩は、博論で切羽詰まっていたときに、ファイルの名前に統一性を欠いていたために土壇場で、混乱したことがあったという。「さ、印刷しようと思ってフォルダーを見たら、ファイル名「決定版」っていうのとファイル名「これで決まり」っていうのがあって、どっちが最新のものかがわからなくなって、かなり焦った」と言うと、Yちゃんが、「同じことやりました、最終版と決定版というファイルがあって、これもどっちがほんとのファイナル稿やったか混乱したんですよ」と反応する。ファイルの分類には、日付が一番無難だと思うけど、と発言したら、Nちゃんが、私は、修正を繰り返すごとにファイル名に何回目の修正かわかるように工夫をしているという。どんな工夫なのかと訊ねたら、「ファイルの名前の後に星をどんどん増やしてゆくんです!」とのこと。たとえば、ファイル名「ケンキュウ」を修正すると、「ケンキュウ★」となり、5回修正したファイルは「ケンキュウ★★★★★」となって、五つ星となる(違)。それ、見づらくないかと、四方八方から突っ込まれていて、Nちゃん、「見づらくないんですっ!わかるんですっ!」と応戦していた。何度も修正版を作っていたら、星の数が増えて、ぱっとみてどれが星が一番多いか、わかりにくいんじゃないかと思う。人それぞれのやり方があって面白かった。
修士1年目くらいだと、なんでもかんでもUSBに詰め込んで、USBが絶対みたいに考えている人が多い印象を受けるけど、USBって永久保存にはむいてないと思う。短期間、ファイル、データを保存する、一時置き場的なものだと考えている。バックアップと関係ないけど、研究室の学生に限定すると、みなさん、パワーポイントの使い方はものすごく上手なのだけど、学生時代は、エクセルって、まったく使わないみたいで、エクセルになるとパワポを前にしたときの元気はどこへやら、途端に、生まれたての子牛みたいになる。その話を夫にしたら、夫が、えらく納得していた。新卒で配属された人は、パワポはよく知っているけど、エクセルは、ほとんど会社にはいって初めて触るようなものだと話していたらしい。文系だとエクセルって学生時代はあんまり使わないのね。
4連柴:
昨日の夕方散歩では、連続で4匹の柴犬さんと会った。他の犬には一匹も会わずにである。みんな2歳前後の若柴さんで、ケンだけが銀柴さんなのだ(ケンは10歳)。ケンもこの界隈では、古株である。4匹目の柴犬の飼い主さんが、「ケンちゃんでしょう!」って声をかけてくれた。ケン、有名人だ。