(ケンの最愛のおもちゃ達:黒いボールが一番のお気に入り)
ケンを我家で迎える前に、楽しそうにおもちゃで遊ぶ犬をブログなどで見ていた。ひそかに犬が好みそうなおもちゃをチェックしていたのだ。ケンが来たら、これを買ってあげよう、いや、あれにしようかなとか。可愛いヌイグルミと仲良くするケンを夢見ていた。
けれどもケンはこちらが期待していたように、おもちゃで遊んでくれない。お店では「イレギュラーな動きに愛犬が夢中」とか「ふわふわの噛み心地がやみつき」みたいなコピーが溢れていて、それを見て買うも、ケンはフンフンと臭いを嗅いでおしまい。
(ケンと遊んでもらえない方達)「わしら、出番ないねんけど」
ケンはおもちゃで遊ばない犬なのかと諦めかけていたある日、散歩の途中で擦り切れたテニスボールを見つけて大事そうに咥えて帰宅した。その後もケンの「ボール拾い」は続き、「拾った」ぼろぼろのテニスボールは6球もある。夫が犬用のテニスボールを2球購入するが、「拾った」ボールの方がお気に召しているようだ。使い古しのボールの軽く跳ねるところがツボのよう。目下、ケンの最愛のおもちゃは、妹が買ってくれた黒いタオル地のピーピーボールである。寝るときはベッドに持って入るし、機嫌のいいときはそれを咥えている。いつも咥えているので、涎でしっとりとしている。綿も飛び出ていて、二度ほど縫い直した。もっときれいなおもちゃがあるのに。
ケンは自分でそのボールを鳴らすことができないので、持ってくると鳴らしてやる。ケンの顔に近づけてピーピー鳴らすと、興奮してその場で笑ってクルクル回る。何が楽しいのかよくわからないけれど、「それやって!」とまた持ってくる。
また、テニスボールを「投げれ!」ってニコニコして持ってくる。ボールを持って帰ってくるとき、早く私に渡そうとして勢い余って私の手や、あごにケンの湿った鼻が当たる。
「早く投げれ!」ケン、お鼻が冷たいよ。
ケンの気が変って買ったおもちゃで遊んでくれる日が来ますように。
ケンのおもちゃ入れ。遊んで欲しいときは、この籠を倒して「本日のボール」を選び出す。