めちゃくちゃ暑かったのだが、レポートを提出しに大学に行った。で、提出して、来期の履修登録用紙をもらってから、図書館に本を返却しに。まとめて返して、すっきりする。あー、とりあえず今期は終わった。なんという解放感。これで、全てが終わるまでは読まないと我慢していた本を読める。実は、東野圭吾の『赤い指』を妹から借りて持ち歩いているのだ。が、そういえば先生が「これだけは、必ず目を通しておいて」とおっしゃっていた本を借りておこうかと思い出す。OPACでお目当ての本を検索する。情報をメモって書架の周りをうろうろしていると、同じくレポートを提出しにきたA嬢が、ひらひらと手を振りながら近づいてきた。「先生に言われていた本を借りようかと思って」「あー、例のやつですか」「番号によると、この辺にあるはずなんだけど、あ、あった!」必ず読まなきゃいけない本は、金塊のように重い本だった。しかも字がいっぱい(当たり前なんだけど)。これで殴れば人が殺せそう。A嬢が「日を改めたほうがいいですよ、この威圧的な本、持ち帰ったら暑さで倒れます」ともっともなことを言うので、後日夫に頼んで車で待っててもらって本を借りるという案で落ち着いた(A嬢が、それナイスアイディアって言うし)。
とりあえず、独りプチ打ち上げじゃと地元の駅についてからご無沙汰していた紅茶の美味しいカフェに入る。そこで『赤い指』の続きを読み始める。この本は、最近のドラマ『新参者』で、阿部寛が演じていた加賀という刑事と溝端なんとかという俳優が演じていた松宮という刑事が主人公なのだ。阿部寛は加賀のイメージとぴったりだと思いながら、ぐいぐい話に引き込まれてゆく。東野圭吾の推理小説は、そのトリックの斬新さというよりは、罪を犯す人間の心理を丁寧に描いていて、そこが特徴的だ。するすると読める。私の座った席のすぐ横に女子大生6人が固まって大騒ぎしているのが、全く気にならないほど私は物語に集中していた。話は重苦しい展開になってきて、でももう引き返せないくらい読み進んでいたので、このままカフェで最後まで読むことにする。
あと数ページで終わるというところで、涙腺が決壊しそうになる。いかん、いかん、カフェで泣くわけにはいかんのだが、ここで本を閉じて持って帰って読むなんてできそうもない。涙を流さないように慎重に読み進めてゆく。が、東野圭吾は上手だった。最後の、最後に予想もできない展開があって、瞬きをした瞬間にぼろぼろ涙がこぼれ落ちてしまった。ちょっと泣いてしまう。周りに悟られたか、と上目遣いで周囲を見渡すと、店員がこっちを見ていた視線をふっと外したのが見えた。どうやら、いろいろ勘違いされたかもしれない。と思ったら、哀れむような笑顔で「お水お注ぎしますね」とお冷を足してくれた。いえ、悲しくて泣いているのではなくて、この本に感動したから泣いているんですって説明したかった。ウルウルの目でレジでお会計を済ませる。もう一冊東野圭吾を妹から借りていて、その後ジェフリー・ディーヴァーを読む予定。あ、金塊本も読まなくては。
ああ、今日はめっちゃ暑くなりそう。お茶を凍らせて出かけなくては。