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ヒマラヤスギ雑記

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夫の場所と定年後構想

夫が月に一度のバンドの練習から帰ったら、なにやらCDのようなものを手にしている。4月にバンドのメンバーとスタジオでレコーディングした自主制作のCDが、完成したのだ。いそいそとCDをかける夫。レコーディングスタジオのエンジニアが立ち会ってくれて、最終ミックスダウン(書いていてもさっぱりわかんない)は、バンドのメンバーのGさんが忙しい仕事の合間を縫ってやってくれたらしい。音はライブで聴くよりもクリアでいい感じであるが、CDにはたったの2曲しか収録されていない。

「え?2曲だけなん?」
「なにいうてるねん、これだけやるのにも8時間かかって、しかも時間切れやってんで。ほんまやったら、もっともっと時間かけるところやねん」と夫が猛反論する。あら、すみませんねぇ。夫によると、レコーディングは、伴奏とボーカルは別々に録るらしい。最初にドラムとベースとギターとキーボード、そのあとボーカル、そのあとコーラスを重ねて、最後にサックス。それを満足いくまで繰り返して、ベストの音にしていくとか。ミックスダウンというのは、音源をまとめる作業みたいなものと私は理解した。その2曲だけのCDを何度も再生しながら、40代もあと数年でお別れの夫に長く楽しめる世界があっていいなぁと思った。今はジャズギターを毎週習っているのだが、定年後はそれに加えてジャズピアノも習いたいらしくて、夫の「定年後構想」は既にばっちりである。

現在学生で、その後働く予定が皆無の私などは、今年の4月から実質「セミリタイア状態」の気がする。そうなると、去年で終わっちゃったキンロウ生活って短かったよなぁとすでに振り返り始めている。仲人をしていただいた尊敬するFさんと、2年くらい前に久しぶりにお目にかかってお話したときに、働いていてもいなくても、学び続けるようにと声をかけてもらった(「やるなら真剣にね」と)。私が結婚するときもそういえば同じことをおっしゃっていた。私のようにデフォルトで自堕落な人間は、どんどん、どんどんと楽なほうに行ってしまうということを、Fさんはよくご存知なのだ。

自堕落な自分を冷静に自己分析した結果、「楽しさ100%」の場所よりも、ちょっと頑張らないといけない場所にも顔を出すようにしている。でもそれが楽しかったりするから不思議。ロシア語通訳で、作家の故米原万理さんの著書だったと思うけれども(補足:いや、全然違う人だったかも)、足がつくかつかないかくらいの深さの海を必死で進むうちにその深さに慣れて楽になってくる、といった主旨のことを書かれていて、なんとなくそれは感覚でわかる。楽になる瞬間というのがどこかで来るのだ。夫は定年後も長く楽しめる場所を見つけているようだし、私も楽しみつつ頑張れる場所をちゃんと持ちたいと、夫のCDを聴きつつまじめに考えた週末。

追記:夫のもうひとつの居場所、それは厨房とスーパーマーケットである。週末は大量に購入した鶏がらから、天然塩で味付けただけのスープを作りラーメンを作ってくれた。長ネギたっぷりで、具に鶏肉と味付け玉子。アクセントに黒胡椒をたっぷり。スープはあっさりとしていて、最後の一滴まで飲み干した。ちょっと前は夫がラグーソース作りにはまっていて、美味しかったので作り方を教えてもらってマスターする。主婦としても立場があやうい私、いやもう完全に厨房管理責任者は夫になっている。今後はムードメーカーとしてケンと一緒に空気を和ませる係りに徹しよう。ムードメーカーとしては、ケンのほうが需要があるし。使えない私、困った。
夫の場所と定年後構想_c0221299_8395865.jpg
(我が家の主任ムードメーカーのケン先生。おつきのもの(私)にボールを投げさせる。)
by himarayasugi2 | 2010-08-31 08:42 | 雑感 | Comments(0)
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