先日、ケンをシャンプーに連れて行ったら、お店の人が「ケンちゃん、夏バテしてませんか?食欲ありますか?下痢してませんか?」って訊ねてくれた。ケンは、食欲旺盛。下痢なども全くなし。散歩は涼しい時間帯を選んでいるので、普通に散歩もするし。ご飯の時間になったら、にぱっと笑いながら催促しに来る。おやつも欠かせない。食いしん坊である。だからケンが「ご飯いらん」ってなったら大事件になる。
(ケンの食事場所。右側は水、左側はフードをいれた器をセットする。フードの入っていないときは、食器は洗って干している。)
といっても、ケンはボランティア団体に保護されてから、全く食べなくなった時期があったらしい。そのボランティア団体は犬や猫を保護すると、健康状態をチェックして、去勢手術とワクチン接種をするのだが、その期間中は既に施設にいる他の動物から隔離される。で、隔離期間中、ケンはボランティア団体のメンバーの自宅にいたのだが、おそらく室内で飼われていたであろうケンは、快適なメンバーの自宅が気に入って、そこにいるゴールデンリトリーバーとも仲良くなったりで、「ここが今度の僕のうちなんだな」と小さな頭で考えていたようだ。
(パンを焼いていると、我慢できなくなって、台所に突進してきたケン。すぐにつまみだされる。)
が、隔離期間を終えて、他の犬と共同生活をするために、施設に連れていかれてから、だんだんケンは元気がなくなって、全くご飯を食べなくなったそう。施設は犬のサイズによって、運動場と犬舎が分けられていて、それ以外だと仔犬用施設、老犬用施設がある。ケンは中型犬施設に入れられた。体重が12キロなので、中型犬といっても、小さなほう。周りはみな自分よりも大きい犬ばかりだし、快適な室内から半屋外に出されて、精神的に参ったのではないかと推測する。ケンは全くご飯を食べなくなった。そしてボランティアさんの顔を見つけたら、駆け寄っていって柵越しに「僕をお家に連れて帰って!」と必死で吠えてアピールしてきたという。今だからわかるが、ケンが自分から人に向って吠えるというのはよほどのことなのだ。それだけせっぱつまっていたのだろう。そのうちご飯を食べないし、元気もないし、ストレスでGPTが上昇してしまい、またボランティアさんの自宅で療養することになった。で、そこにいるときに、私がネット経由で問い合わせてケンが我が家にやってきたわけ。
我が家にケンを連れてきてくれたボランティアの方は、「ケンは繋いだりせずに、お家の中に入れてやってね。室内のしつけは出来ているから、室内でもケージに入れなくても大丈夫やから。可愛がってやってね」とおっしゃってケンを置いていった。ケンは数日間はなんとなく不安そうな表情を浮かべていたけれど、だんだん慣れてきてくれて今や、寝室はケンの部屋である。
(「まて」と言われて我慢しているケン。「よし」と言ってもらって早く食べたいのだ。必死で「まだ?」と目で訴えている。首に巻いている手ぬぐいの中には、保冷剤が仕込まれている。)
繊細でヘタレなおぼっちゃまのケン。でも、そんなケンを今さら逞しくしようとかは考えていない。犬の一生は長くはない。あと何年生きるのかわからないけれど、残りの時間を、私たちと一緒に、安心して、美味しいもの食べて、楽しく元気でいて欲しい。