夫の職場に、半月前に欧州から日本に転勤になったポルトガル語が母国語の外国人が、1週間ほどオリエンテーリングで来ていたそう。彼の奥様の母国語はおそらくフランス語。来日して半月しか経っていないというのに、彼は朝の挨拶から始って、ちょっとしたセンテンスを会議でも果敢に日本語で話そうとするらしい。そうやってどんどん日本語を覚えていっている。で、彼の奥様は来日してすぐに毎日3時間の日本語集中講座をマンツーマンで受講していて、早く上手になりたいと努力されている模様。なんだかそういうのをきくと嬉しい。住む場所は、現在外国人ゲットーは避けて探している最中とのこと。短期間でも日本での生活を楽しみたいと考えているそう。
東京時代に仕事で比較的長期間お世話になっていたイギリスの会社は、イギリス人スタッフが多かった。あるポジションの高いイギリス人の奥様(イギリス人)などは、3年も日本に住んでいるのに、郵便局からエアメイルも出せなかった。なので、プライベートの用事もなにからなにまで全て、彼女の夫の日本人秘書がやっていて、その秘書によるとここまで日本に馴染んでくれない人はかなり珍しいとのことだった。また同じ会社の別のイギリス人は、東京の外国人ゲットーを最初から避けて世田谷の普通の住宅街に家族で住んでいて、その人はオフィスに出入りしている宅急便のお兄さんと普通に世間話をしていた。
東京横浜時代と、よく現場でご一緒させてもらった先輩は、たとえ3日間の旅行でも、外国に行ったらその国の「ありがとう」「おはよう」「こんにちは」「さようなら」「ごめんなさい」といった挨拶と数字くらい覚えるのはマナーだとおっしゃっていた。日本語は、世界的にみてやはりマイナーなほうなので、日本にいる外国人がちょっとでも日本語で話してくれると、やっぱり嬉しいし、親切にしたくなる。それは人情だと思う。言葉は文化なので、別に流暢に難しいことを話せなくても、その地において使ってみようとしてくれるだけで、その国の文化を尊重する姿勢を見せることになる。
そんなことを強く意識するのも、13年くらい前に中国に行ったとき、万里の長城の近くのケンタッキーで全く英語が(ワン・ツー・スリーも)通じなかったことがあって、そのときのことを前述の職場の先輩に愚痴ったら「なんでも、どこでも英語で通そうとするのは傲慢だ」と叱られ、そしてマナーうんぬんという話へと続いたのだ。たどたどしくとも外国人が日本語で話そうとすると嬉しいように、外国でその国の言葉を少しでも話そうとすると、きっと相手も悪い気はしないはず。自戒をこめて。
(庭に自生しているコスモス。どこから種が飛んでくるのやら。)