私は夫と比べると、ケンと一緒に過ごす時間が長い。だから、ケンは何かお願い事(お庭で遊びたい、実家に行っておやつもらおうよ、等)があるときは、まず私にアピールする。そのアピールとは、パソコンの作業中とか椅子に座っている私に近づき、頭をくりくりと私の足にこすりつけてくる。で、「おー、よしよし」と耳の後ろを撫でてやると、今度は体ごと預けて擦り付けてくる。それでも私が席をたたなかったら、おもちゃの入っているかごの中身をぶちまけて、床におもちゃをばら撒くのだ。で、気に入ったおもちゃを咥えて私の目の前で激しくアピール、「ほら、ケンちゃんとこれで遊びたいでしょ?」みたいな感じ。
(おもちゃのカゴに近づく)
(おもちゃを出し始める。床に増えていくおもちゃに注目。)
(その日、気に入ったおもちゃを咥えて頭をクイっとそらす。「これこれ!」)
「他にもないかな」
「何見てんねん。あそべへんの?」
ケンは夫には若干遠慮があるのか、頭をくりくり擦り付けることはしない。黙って目をみつめてオスワリをするのだ。夫のほうは、(おそらく)ケンに頭くりくりをやって欲しいはず。そこで夫がとった行動が「おやつでケンの気を引く」というやり方。ケンは最近ちょっと太ったので(おやつの食べすぎ)、間食をさせないようにしているのに、夫は「果物はええねん」と言っては毎晩酔っ払うと林檎を剝いてケンに食べさせる。ケンも心得たもので、夫が夜キッチンに立つとキッチンから離れないのだ。うるうるした瞳で夫を見上げて林檎をせしめる、ずるがしこい柴犬。夫は今、絶対に林檎を切らさないように、外出すると必ず林檎を買ってくる。我が家には常に林檎がある状態なのだが、それは全てケンのもの。
(酔っ払うと繰り返される光景。ケンのベッドにへばりついて、話しかけながら床で寝てしまう夫。着用している半纏はダイエーで980円だった。)
夫のことを、ケンはどう思っているのだろう。夫が帰宅すると、「キュンキュンキュン・・」と甲高い声で鳴きながら階段を下りて玄関へ行き、夫の姿を確認すると1階の奥の寝室から、ケンが1番好きなおもちゃ、プーを咥えて夫に見せに来る。他のおもちゃが近くにあっても、夫を出迎えるときはプーでないといけないと思っているようである。そうやってケンがわざわざプーを取りに行って見せにくると、夫は感激するのだ。自分だけの特別なおもてなしだと思って。そして私も一緒に「わー、ケンちゃんプーを持ってきてくれたんや、かしこいなー」と褒めまくる。そうすると、気分がいいケンはその後もずっと夫が帰宅するとプーを持ってくる。多分、ケンは夫にプーを見せると夫が喜ぶと思っていると思う。いつも夫の前にプーを「はい、プーだよ、おぢさんプーが好きなんでしょ」ってな感じで毎夜差し出すのがおかしい。
(最近夫が「撮影に成功した!」と興奮気味に語った写真。階段で休憩しながらオスワリするケン。)