私の器の師匠、さわさんをお誘いして、東洋陶磁美術館で開催されている
『ルーシー・リー』展に行ったのだが、メインイベントであるはずの『ルーシー・リー』展にたどり着くまでに、なんだか色々あった。以下、時系列に出来事を記録。
ランチはレトロな北浜で:
研究室のYさんらが「東洋陶磁に行くなら、絶対
ここでお茶してくださいよ」と教えてくれた英国風喫茶室でまずはランチ。私は、神戸の三宮・元町の一角と、神戸の東側、阪神間はある程度詳しいのだが、大阪となるとまるでだめ。大阪は、山と海が見えないので東西南北がわからなくなる。さわさんは、体内に方位磁石があるかのように初めてきた場所でもすぐわかるみたい。レトロな喫茶室はすぐにわからなくてうろうろしていたら、中古カメラ屋のおっちゃんが店からわざわざ出てきて「どこ行きたいねん」ときいてくれた(*1)ので、店の名前を言うと、親切に教えてくれた。こういうのって神戸ではないんよね。大阪の人情みたいなので嬉しい。お礼を言ってレトロな英国風喫茶室へ。目の前できゃー素敵!と言ってさわさんと、しばし外観の撮影会となる。やっとこ落ち着いて入店し、超素敵な店内へ。ランチメニューはわりと限られていて、要はサンドイッチしかなくて、それはちょっと残念な味だったけど、雰囲気があまりに素敵でサンドイッチは帳消しに。ケーキ、美味しそうだったよ。今度はお茶するぞ。
(素敵な外観に興奮気味で撮影したのだった。)
(すっごく素敵な店内。)
そこに芸能人登場:
サンドイッチをつまみながら、ぺっちゃらくっちゃら喋る。そうすると、いきなりテレビカメラが入ってきて、クルーが数名、撮影ディレクター風の女性の後に続いてどこかで見たことのある顔が。円広志だった。真っ黒に日焼けしていて、テレビで見るまんまの顔だった。ディレクターとおぼしき女性が「すみません、おくつろぎのところ、関西テレビの『よーいどん』という番組の撮影です。みなさん、普段どおりにお食事続けてくださいね」と声をかける。円広志が「すみません、有名人の円広志です」と挨拶し、いきなり撮影がはじまった。ま、お店の紹介みたいで、タルトか何かをつまみながらお店の人と「このビルは築何年ですか」とか「あんた、バイト?社員?何年目?」とかとか話していた。実は私とさわさんの席は、円広志から1番近い席だったのだが、写メをすることもなく、ただだまってじーっと見ていたという愛想のなさ。でも、きゃーきゃーいう感じでもないし。円広志にはとても失礼だと思うけれども、テンション低めで見守っていた感じ。途中からさわさんと、普通に話に戻っていたし。しかし、素敵な店内。トイレも素敵。建物は築100年のレトロビル。さわさんは、一階のショップでアールグレーを購入していた。
(二枚ともトイレの内部。天井が高くて、寒い。手洗い台もクラッシックだったし、蛇口もイギリスのちょっといいB&Bみたいだった。そうそう、スコットランドで泊まったB&Bによく似ていた。)
(ケーキのショーケース。お店の人の許可を得て撮影。左上のベリーのケーキを隣の席の女性が食べていて、めっちゃ美味しそうだったので、次回はこれを食べる。)
やっとメインイベントへ・・・:
レトロビルのおされカフェとテレビ撮影で、さわさんも私も大阪に来た理由を忘れるくらいなんだかテンションが上がる。が、そもそもルーシー・リーに会いにきたんじゃん、ということで東洋陶磁へ。『ルーシー・リー』は、器ショップのオーナーなど必ずチェックしているであろう(*2)。充実の展示内容に大満足だった。フォルムは高台のついているちょっといい日本のお茶碗を思い出させる、なんとなく日本的で繊細なものが多い。彼女が美術を学んだのはウィーンだったから、ウィーン的?展示数は十分だったけど、解説文に執筆者の単なる主観でしょ、みたいなコメントが散見された印象。もうちょっと器の用途とかにも触れて欲しかった。用途が気になるくらい、純粋に実用的というよりは、やはり芸術的要素が強くフルーツとかを盛っていたのかなというボールが多かった。花器は、首が細く、口がラッパ型でかなり生ける花を選ぶが、はっきりとしたフォルムの花ならはえる。使いにくそうと思いつつ、こういった形は同美術館の平常展で見た宋とか高麗の花器のかたちによく似ていたから参考にしたの?そういうのも知りたい。おそらく宋の器などは必ずリーは見ているはずだから、影響は受けたのかもしれない。個人的には掻き落としのこげ茶とシロのボールが気に入った。フリーハンドでひかれた細い線はどこまでも優雅で、古いのにとてもモダンな器だった。素敵な展示だったし、美術館自体もこじんまりしてよかった。
盛りだくさんな1日。大満足。
*1 私は典型的な「地図を読めない女」なのに、なぜか道もよく訊ねられる。
*2 実際、器ショップのオーナーっぽい「オサレな人」が多かった。
追記:東洋陶磁美術館には、宋時代のすんごい青磁とかわんさかあります。国宝の油滴天目茶碗もあります。大阪国立国際を見て、ここ見て、お茶して駅まで歩いてハービスプラザエントの粋更(Kisara)とか覗くと必ず欲しいものがあります。よければどうぞ。