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ヒマラヤスギ雑記

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異形の存在とお守り

夕方、スリラーを読みかけていて、途中ソファでうたたねをしてしまう。ケンが「夕方散歩の時間を過ぎてるよ」なのか「晩御飯はまだ?」なのか、どちらかわからないけど、あきらかに私になにかして欲しそうだったようで、一階の寝室から二階のリビングでうたたねをしている私のところにやってきた。チリン、チリンと首輪につけている鑑札の音が寝ていても聞こえてくる。でもケンは吠えたり、体を触ったりの意思表示はせず、黙って私が寝ているソファの下にうずくまって、気づくのを待っていた。

慌てて起きてケンと散歩に行く。午後7時を過ぎているので、涼しいし、木の茂っているところを歩くと肌寒いくらいである。よく丑三つ時に「あの世」と「この世」が交わるとか言うけれども、私は夏の日没後の、空だけがピンク色で地上が薄暗くなっている時間帯の方が、異形の存在とうっかり遭遇しそうな気がする。こういうことを考えたのは、うたたねする前に読んでいたスリラーの内容のせいである。ドラキュラ伝説の謎に迫ると危険が主人公に及ぶという話で、まだ途中なのだけどリアルな感じがするのだ。

大学の図書館でドラキュラ関係の本を問い合わせたりすると、ドラキュラの手下(人間ではない)にマークされる場面があるのだが、大学図書館という場所は外と空気が異なり、どこかと繋がっている場所のようだと私は日頃感じているので、特にそういう異形の存在が紛れ込みやすいんじゃないかと。特に地下の書庫は、人がいつも少ないし古い本のひっそりとした息遣いが聴こえてくるようで、ちょっと怖い。なので、いつも超手短に本を探しては逃げるのだ。

本ではドラキュラから身を守るニンニクや銀の十字架をポケットから出すシーンもあったり、あと銀の弾でないと撃ち殺すことは出来ないとか話し合うシーンもある。私は二十歳の頃に初めて海外に行ったのだけど、そのときに祖母から指にしていた指輪をそのまま「旅のお守り」としてもらった。プラチナとゴールドの細い輪が交差していて、透明のアクアマリンがぽんっとつけられている指輪である。祖母によると、アクアマリンは魔物避けになる石で、旅のお守りとして体の左側につけるといいとのことだった。そしてアクアマリンは、沢山の邪悪なものを持ち主に代わって引き受けると曇ってくるらしいのでそういうときはマメにクリーニングするようにとも言われた。

そのときからアクアマリンの指輪はずっと私の左手にはめられている。旅先で危険な目に遭ったことは一度もない。これは指輪のお陰なのだろうか。でもその他にも父にもらった神社のお守りと母にもらった干支のお守りもいつもキーホルダーにつけているし。お守りだらけである。夫には、私が祖母にもらったエジプトのスカラベをペンダント加工したものをキーホルダーにつけてもらっている。これがあるから大丈夫だと信じているから安全でいられるのかもしれないけれども、こういったお守りの類の効用はあると信じたい。
by himarayasugi2 | 2011-07-16 07:29 | 雑感 | Comments(0)
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