昨日は早朝から深夜まで修了式から謝恩パーティと忙しかった。学部の卒業式と違って、袴姿や振袖の学生は少なかったけれども、専門職大学院では、アカデミックガウンと式帽でそろえている大人数のグループがいたり、いつもと違う独特の華やいだ雰囲気があった。私は紺のコートドレスに紺のベルベット地に金の刺繍がはいった、タッセル付きの少しフォーマルなショールを襟のように合わせて、普段学校にはつけていかないちょっといいジュエリーを少しつけていった。寒かったので、スカートの下から風がすーすー入って、修行のようだった。
朝の修了式後は、研究室に戻って修士学位記を指導教官から一人ずつ受け取る。M1も来てくれていて、記念品をくれる。全員で、そして先生と、そしてゼミの友達、M2、先輩と後輩となどなど写真撮影に忙しく、何度カメラに笑顔を作って何度シャッターを押したかという1日。よく考えたら、こういう晴れがましい席はもう何年ぶりだろうと思う。研究室の空気も晴れやかでふんわりしている。
アラフォーやリタイヤ年齢の修了生や博士号取得者が目に付いた。なんだ、私ってちっともマイノリティとちゃうやん。専門職大学院だけでなく、修士課程の修了者も老若男女化の兆しがあって、なんか嬉しい。
修了式後は、夜から謝恩パーティである。先生にお渡しする花はA嬢と私が取りにいく。お花屋さんには、先生のイメージカラーとか先生のお人柄など色々と楽しい情報をお伝えしていて、少ない予算なのに、素敵なお花を作っていただいてA嬢と感激する。そういうわけで、恒例(?)のお贈りしたお花と事前に伝えたイメージ(1部だけど)の答え合わせ。
(カバンや小物等もオシャレでスマートというかシュッとした感じ。国のイメージはロシア、北欧。スタイリッシュで都会的。沈着冷静。ご本人もこの華やかなお花にまんざらでもなさそうな笑顔だった。花束を結ぶリボンは、和風っぽい赤で、それがすごくお洒落だった。私はこれが一番欲しい。)
(自分の足でフットワーク軽く動き回る学者、古典的な一方ハイカラ好きでもある。議論好きのフランス人っぽい感じで、困っているときは本当に優しくてたよりになる先生。先生「ワシ、結構派手やなぁ」と笑顔。)
(おおらかで自由(自分も自由を持ち、他人に対しても自由を持たせてくれる)。優しそう。愛嬌があり笑顔が素敵なおじさま。 楽しい事が好き。イタリア人気質。ジブリの「紅の豚」のポルコを陽気にした感じ。このお花はとってもいい香がしていて、一番色っぽい花束だった。A嬢はこれが欲しいとか。)
(西田敏行+トトロ。いつもニコニコしている。可愛くて優しいお父さんみたいな人(飼っている猫がお腹の上で寝るらしい)。縁側とひなたぼっことお昼寝が似合う、研究室の「癒し系」。イギリスの古い大学の奥の部屋の窓際で、クラッシックをかけながらお紅茶を飲んでいる雰囲気。ほんわか。先生は、「僕のイメージ、めっちゃええなぁ」とご満悦。)
(私の担当教官。たよれるスイスかドイツの森のきこり。ハイジのおじいさんの若い頃のイメージ。陽気。切り株に座って、豪快にワインとチーズとパンと生ハムを食べると絵になる感じ。でっかくあたたかい。ブリューゲルの《怠け者の天国》が大好き。先生はこれを受け取って、「僕のんにはなんで、林檎とトウモロコシと松ぼっくりが入ってるんやー」と大笑い。どういうイメージをお花屋さんに伝えたのかすごく知りたかったよう。とても気にいってくださって、いろんな人に見せびらかしていた。ふふ)
修士を終えて:
この2年間は、ここ数年間の中では最高に楽しく、充実して、頑張れた2年だった。イイコトしかなかった。院試を受けるかどうかも迷い願書受付の数分前に提出し、試験前日はほとんど一睡もできずガチガチで受験し、入学式の前夜は「やっていけるんやろうか」と急に不安になったりしていたけれど、授業が始まれば、緊張と充実感と毎日の新鮮な驚きで不安など吹き飛んでいた。卑屈さも消えて普通に学生生活を楽しむことができた。シュウロンに追いまくられていた数ヶ月間もちゃんと乗り越えることもできたし。ちょっと自信みたいなものを持つことができた。学ぶことはいくつになっても新鮮で、刺激的で楽しいのだ。それがこの年齢でも味わえてそれが本当によかった。
なによりもそれは、先生方、同級生、先輩、後輩のサポートあってである。私みたいなイレギュラーな学生を受け入れてくれて本当に感謝している。気にかけてくれた学外の友人、知人、家族、コメントを下さる方からの励ましの言葉も嬉しかった。そして夫とケンがいたから頑張れたと思う。買い物や家事をいつも手伝ってくれて、そしていい意味でシュウロンの進捗に無関心でいてくれた夫には深く深く感謝している。忙しくなって篭りがちな私を、「散歩の時間だよ」「遊ぼう!」と外にひっぱりだしてくれて、そして癒してくれたケンの存在も大きかった。
ありがとうございました。
そして、:
経緯は省略なのだが、春からも同じ大学のドクターに進学することになった。修士よりもずっときつくなると思うけれども、また頑張ろうと思う。就職などで去ってゆく人も多くて(A嬢も就職だ)ちょっと寂しいのだけど、また研究室に遊びに行くと言っているし、そのときを楽しみにしたい。謝恩パーティの帰りに研究員のYさんが私の腕をつかまれて、「ようこそ、こちらの世界へ。来月から、もっとよろしく」とニヤリとされた。Yさんもドクターに進学が決まったときに先輩からそう言われたという。ドクターは「こちらの世界」らしい。まぁ、個性的な人しか残っていないから、そういう世界なんだとは思っていたけど。