先週の木曜日、夕方に帰宅したらクリーニング店で使う、スラックス用のプラスティックの小さなハンガーが床に落ちていた。着る服をクローゼットから取り出したときに落ちたのだろう。拾ってびっくりである。ハンガーの半分が噛み千切られているのだ。もしかして、ケンが食べたのだろうか?いや、まさか。ケンはこういうイタズラはしない犬なのだ、するとしても、年に一回だけである。もしや、これって「年に一回」か?
とりあえず、ケンのベッドの中とか下とか、人間のベッドの下などを捜索して、ハンガーの半分が落ちてないか探す。ない。どうだろうか、こんな味のしないものを食べたりするのだろうか。ケンの様子といえば、いつもの調子で私に「ごはーん、ごはーん」と踊るのだ。こういう誤食のあとは、元気がなかったり、食欲がなかったり、下痢したり、嘔吐したりするものなのでやっぱりハンガーは食べていないのだろうか。ま、お腹がすいているようなので散歩に連れて行ってからご飯をやる。食欲は旺盛で完食する。元気だ、安心する。
翌、金曜日の朝の散歩でもとってもいいウンチをするし、朝ご飯もペロリである。夕方のお散歩のときもとってもいいウンチをするし、夕ご飯もペロリである。お庭でかけっこもしたし、元気である。やっぱりハンガーなんて食べてないんじゃ。ウンチにもハンガーの破片は見当たらなかった。
しかし土曜日の朝、夫が散歩に連れていってくれた。帰宅して、「ケンが吐いたで」と吐いたものをティッシュに包んで持ってかえってくる。どれどれ、と吐しゃ物を広げると、黒いかたい固形物である。ハンガーだ!吐いたプラスティックの破片を並べてハンガーを復元する。ちょっと破片が足りない。まだ体内に残っているのかもしれない。そのまま朝の診察時間に獣医にかけこむ。
先生に破片を見せて説明する。食欲もあるし、下痢もしていないし、木曜にどうやらハンガーを食べたみたいで、吐いたのは土曜の朝であることを伝える。結論からいうと開腹手術を要する腸閉塞などの心配などはないということ。小さくしてから飲み込んでいるし、吐いたもの以外はおそらく既に便と一緒に排泄されているだろうとのこと。仮に胃に残っていたとしても、食物繊維の多い野菜を煮込んだものと一緒にフードを食べさせてみたら、いずれ便とともに出るでしょうとのことだった。一安心。診療代もナシだった。
床にケンがかじったら危険なものは徹底して置かないようにしよう、と夫と話しあった。コード類も、外出時は全てコンセントから念のために抜いておくことを徹底する。やっぱりケンはまだこういうことをするのだ。寂しかったのだろうか。いっぱいぬいぐるみがあるのに。ケンは相変わらず、ごはーん、おやーつの舞を舞ながら、おもちゃを咥えて甘えてきたり、マイペースで元気いっぱいである。でも拾い食いは危険だから防止しなくては。
「ケンちゃん、変なものを食べたらだめだよ」
「・・・」
でも、意外とケンはわかっているなぁということもあった。ケンはアブとかが飛んでいるとパクンと口をあけて飲み込もうとするのだ。といっても、いまだパックンとはいっていないので、ケンの中では遊びのようなのだ。でも、蝶がひらひら顔の周りを飛んでも絶対にパクンはやらない。見逃してあげるのだ。そのあたりの区別の仕方がわからないんだけど。昨日、庭でスズメバチがケンの近くを低空飛行していたとき、夫が慌ててケンを呼び戻そうとしたら、ケンはスズメバチの羽音をきいただけて逃げ出したという。どうしてわかるのかなぁって夫と首をかしげる。