先日長話をしていたお店に所用で立ち寄った。今回は他にも寄るところがあったので、さっと短時間でお店を出る予定だったのだけど、またしても店主とお話してしまう。テレビで地元の近く(地元とは言えないけど広い意味での地元)エリアにあるお店が紹介されていたらしい、という話になる。店主はその店には行ったことがないという。テレビではセレブでマダムな美味しいお店と紹介されていたらしいが、個人的にはあんまり美味しくなかったことしか覚えていないので、店主に個人的意見だけどと前置きして、そうコメントしたら、店主は「この辺りに住んでいる他のお客さんもみなさん同じように『あそこ美味しくないのに、なぜ?』っておっしゃっていましたわ」と言う。そういうことはよくある。メディア受けがいいお店なのかもしれない。あのテレビを見て真に受ける人もいるかもしれないのにね、とかとか話がまた広がる。やっぱり口コミのほうが信用できると思う。
M嬢から研究室関係の半分業務連絡みたいなメールがきた。で、M嬢が求めていた情報を私は持っていなかったので、「私の知っていることはここまでです」と書いてから、「こういうことをメールで伝えていいんかどうか迷うけど」と前置きしてから、全く無関係の話題で数行書いた。考えてみれば、この前置きは変である。メールで何を書くのが正しいのかなんて人それぞれだし。ただ、私はあんまり転送を繰り返されるとよろしくないかなという内容はメールにはしない。今回M嬢に言い訳書いてから伝えた内容は、「衝撃の事実、XくんとYさんって、去年の夏から付き合ってるねんて」であった。何をもったいぶっているのやら。これも研究室に出入りする人の半数以上が知っているようなネタではある。先生ですら私よりも先に知っていたし。そして40歳を越えたいい大人がメールで同級生に伝える内容とは思えないんだけど、伝えちゃう。ほとんど噂好きのおばちゃんである。しばらくしてから、M嬢から「!」が13個も入った動揺しまくりのメールが返信されてくる。そうだろ、そうだろ、驚くだろう、まさかあの二人が付き合っているとは思わないよねー、と一人ほくそ笑む私である。
ただ、XくんがYさんのことを前から憧れていたことは「おばさんの勘」でうすうすわかっていた。Yさんのことを語るXくんはなんとも切なそうだったので、「あれ、XくんはYさんが好きなんかな」と何度か気が付いていたのだ。年齢を重ねるとこういうことだけは、えらく鋭くなってくる。XくんはどうやってYさんを誘ったんだろうか。うーん、知りたい。しかし、これ以上首をつっこむことは自粛しなくては。代わりにM嬢に潜入取材させよう(→どうしても知りたいくせに人にやらせるおばさんである)。
『ビブリア古書堂』を視聴する。今回は、佐野史郎が蹴飛ばしたくなるほどイヤなやつを清々しいほどのヒールっぷりで演じていた点は印象に残る。あとは相変わらずではあるけれども、今回ドラマで紹介されていたSF『たんぽぽ娘』のあらすじ(というかネタバレ)を番組の最後に字幕で表示していて、それを読んでかなり「ぐっと」きた。SFの中でもタイムマシンというモチーフは、安易に使いまくると全てにおいてリアリティがないただのバタバタした話になってしまうと思う。ただ、この『たんぽぽ娘』の中のタイムマシンは、とても気のきいた小道具というか、人を愛する気持ちのいい引き立て役になっていた。ラストを読んで、あっちゃー、原作をまず読みたかったと思うほどの、よいラストだった。古書店で探そうかな。