ケンは、最初はスカイプが始まると「なんだ、なんだ」と駆け上がってきたのだが、夫の声はしても、どうやら夫はいないということを学習してからは、スカイプで私が話し始めても、「あ、また独り言いってるんだ」と全く相手にしてくれなくなった。そうなると、さみしいのは夫である。夫は「あれー、ケンちゃんはー?」と恨めしそうに言う。なので、階下で寝ているケンを起こして、スカイプの前に呼びつけることにした。
まず、パソコンを階段の近くまで持ってきて、夫に大声でケンの名前を呼んでもらう。私も夫のあとにこだまのように呼ぶことにする。夫が何度も大声で(現地で煩がられていないかどうか不明)呼ぶと、しばらくすると、ケンが登場する。とことこ、とことこと階段を上がり、パソコンを見つめる。せっかくだから、その様子を写真に撮ろうと思ったので、夫に「デジカメ取ってくるから、その間ケンがパソコンの前にずっといるように、話しかけ続けてよ」と言って、書斎コーナーのデジカメを取りに行く。その間、夫は「ケンちゃーん、林檎剥いたろか?梨がいい?今度カフェに行く?ワカサギ食べるか?パン食べるか?やっぱり林檎か?おやつ?」とケンが好きなもの(食べ物ばかり)をひたすら叫び続けていた。ケンは「林檎」とか「おやつ」とか「梨」といった美味しい言葉が出てくるたびに、しばらくこの小さい箱の前にいたらもらえるのかも?と思ったのか、いちいち反応して、じっとしていた。
夫の努力のかい(?)あって、撮影できた写真など。
(「あ、おじさんの声がまたする」と、じっと画面というか、パソコンをみつめるケン。)
(夫が、ケンの好きな食べ物の名前を連呼し続けているときのケン。神妙な顔である。)
ケンの顔が映るたびに、ひゃーひゃーと嬉しそうな甲高い声を出す夫である。夫が見ているであろう、ケンのスカイプ映像はこちら。
そのうち飽きてきたのか、ケンは、「僕、寝るわ」といって、回れ右してスタスタと階段を下りて行ってしまった。
(待てども待てども、林檎も梨もおやつももらえないと悟ったケンは、さっさと見切りをつけてしまう。夫が「ケンちゃん、行かないでー」とまた絶叫。)
夫もケンが行ってしまったのを見たら、「もう切ろうか」とあっさりしたものである。ケンの顔さえ見れたらいいのだ。夫は、レジデンスホテルのようなところに、滞在している。キッチンもランドリーもあって、普通に生活できるみたい。Yシャツのクリーニングサービスが高いといって、えらく憤慨していた。結局、自分で洗濯してアイロンをかけたで、とスカイプ経由のドヤ顔で自慢していた。アイロンかけれるんだー、そうかー、じゃ、やってくれ。
三連休のこちらのお天気はいまいちである。でも、そろそろ買い出しに行かないと。