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ヒマラヤスギ雑記

cedar2.exblog.jp

新規のお客

抱えていた案件の提出の目途がたったので、美容院の予約を入れた。担当美容師はもう20年はこういう仕事をやっているので、私よりもずっと多くの人を見てきている。どんなに変わった人でも、余裕で対応できると言っているその彼が、1年に1人来るか来ないかくらいの大変なお客さんに遭遇した話をしだす。

初めて来る女性のお客さんだったという。最初に見たときに神経質そうな印象を彼は受けた。「1センチほど全体をカットしてもらってから、カラーをしてください」というので、まずカットからと鋏をもって髪に近づけただけで、くるっと振り返って、(切りすぎていないか)確認してくる。「まだ、なんにも切ってないのにですよ」と美容師。お客は、美容師が鋏を髪に近づけるたびに何度も何度も振り返って作業を中断させる。「切りすぎないでよ」と神経質そうに繰り返し、カットが進まない。ついにその美容師は「初めて来られて不安でしたら、今日は、5ミリくらいトップを軽く切るだけにしましょうか」と提案して、やっと切らせてくれたとか。「僕、全然信用されていないみたいで」と美容師。

その後、カラーとなる。彼女が頼んだものは、根元と毛先は時間差で色も変えて染めるメニューである。先に根元を染めてから毛先を染めますと最初に説明しても、しばらくしたら「根元しか染めてないわよ!」と繰り返し訊ねてくるため、そのたびに「毛先は後からです」とこれまた何度も説明をする美容師。カラーの色も、本当に言ったとおりの色にしたのかと、また繰り返し訊ねてきたらしい。キャップをかぶって染めている間もずっと「これで本当にちゃんとできてるの?」と、他のお客さんの施術にかかっているアシスタントや美容師を何度も呼びつけては、繰り返し訊ねていたという。

「他のお客さんにも迷惑をかけていたかもしれなくて、本当に参りました」とのこと。その数日後にまた彼女が店に現れて、「もっと短くしてほしかったから」と再カットを要求し、料金を払わずに帰ったのだ(X日以内だったら施術が気に入らなかったら無料でやり直すとする美容院は多い、この店も同じシステムを取っていた)。ただ、短く切らなかったことに、美容師に非がないのは明らかなだけに、美容師はかなりテンションが下がったらしい。で、彼女はまた来店する予感がすると、彼は怯えていた。

「……なかなか大変だったようですね」「はい」
「いくつくらいの方なのですか」
「ヒマラヤスギさんと同じくらいの年齢で、持ち物、洋服からみて、かなりいいところの奥様といった感じです」とはいっても、なにがしかのストレスがあるみたいで、人が信用できないのだろうか。「でも、人を信用できない人が、初めて行った店で、そういう複雑なカラーの施術を頼んだりできるものなんですか」と私が訊ねると、美容師はこういうのだ。「あの人は、自分にかなり手をかける人だと思います、普通以上に、『お手入れ』というのに普段から敏感なタイプだと思います」と。その根拠に顔全面にボトックス施術を受けていることを挙げる。ボトックスは定期的に受ける皺をとるプチ整形の一つである。

「ボトックスって、やってるかどうかわかるの?」と訊くと、「ボトックスはすぐにわかりますよ、目の周りをやっていたら、眉毛が動かないし」と美容師。彼によるとあるべきところにあるべき皺が現れないから、すぐにわかるという。その客は、目じりやおでこの皺も法令線もなんにもなくて、つるんつるんらしい。「口元は笑っていても、目じりも眉毛もなんにも動かなくて、笑っているかどうかもわかりにくかったです、お客さんでされている方は多いけど、顔全体にやっている人はあまり見たことはありません」と淡々という。

「私、実はシミは消したいなーって思うことあるけど」と言うと、「あ、XX皮膚科って、シミのレーザーが安くて上手だって、他のお客さんがみんな言ってますよ、もしよかったら」と、淡々と教えてくれた。還暦祝いにまとめて消そうかと。
by himarayasugi2 | 2015-03-12 09:10 | 雑感 | Comments(0)
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