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ヒマラヤスギ雑記

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セッション

ネタバレ箇所は明記している。

シネリーブル神戸に『セッション』を観に行ってきた。12時半からの回の座席予約を11時前に済ませた時点で、三分の一は座席が埋まっていた。上映時にはこの回、満席となっていた。いまだかつて、シネリーブル神戸で入場前にあんな行列見たことない。わりと、40代、50代の男性が多く、みなきっと音楽が好きなのだと思う。男女比は、この回についていえば、5.5:4.5で、男性が多かったと思う。

ストーリーは公式サイトよりお借りする。

「名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)はフレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。ここで成功すれば偉大な音楽家になるという野心は叶ったも同然。だが、待ち受けていたのは、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーの常人には理解できない〈完璧〉を求める狂気のレッスンだった。浴びせられる罵声、仕掛けられる罠…。ニーマンの精神はじりじりと追い詰められていく。恋人、家族、人生さえも投げ打ち、フレッチャーが目指す極みへと這い上がろうともがくニーマン。しかし…。」

次の段落からネタバレ。これからこの作品を観に行く予定の人は読まないことをお勧めする。

ここからネタバレ:

登場人物について(ネタバレ多し):
この映画は、音楽映画ではなく、一人の欠点だらけの若者が最後にほんの少し成長することを描いたものだと思う。鬼教官のフレッチャーは、「厳しいけど音楽を愛し、最高の音を求めるのに妥協のない人」ではなくて、「たまたま人より音楽のセンスがあるけど基本、人間のクズ」である。これは最後にフレッチャーがニーマンへ仕掛けた罠でわかる。フレッチャーは、ステージが台無しになってでも、ニーマンに恥をかかせようとする、嫌な、嫌な奴なのだ。音楽よりも、仕返しが大事な男なのだ。

ではニーマンはどうなのか?ニーマンは「ひたむきに努力するジャズメンの卵」かもしれないが、それよりも傲慢で自己中でうぬぼれの強い、プライドの高い、時間にルーズで、思いやりのない若者、の側面のほうが強いと思う。フレッチャーは、音楽は好きだろうが、その指導は完全に一線を越えていて、それはもはや指導ではなく、ハラスメントである。ニーマンは、音楽以外はさっぱりの若者で、絶対に「うっかり」があってはいけない場面で、「うっかり遅刻し」、「うっかり大切な楽譜をなくす」のだ。そして、思いやりのない言葉で、彼女に一方的に別れを告げる。彼に友達は1人もいない。二人とも人間的に欠落している部分が多いし、人間的な魅力はない。

ドラム:
私は、なんの楽器も演奏できないのだけど、映画をみていてドラムの難しさというのは、よくわかる。おぢさんバンドをやっている夫によると、ドラムは、ボーカル、ギター、ベースなどのパートよりも常に後方で演奏しているのだけど、ドラムはバンドのリズムを作り、維持するパートで、とても重要である。ドラムが抜けると後任を探すのは大変らしい。ちゃんとしたドラムを叩ける人はギターよりも少ないのだ。ずっと一定のリズムを刻んで決して狂わないなんて、神業である。バンドのメンバーはドラムのリズムに従う。責任重大なパートである。映画でも、何度も何度も、ニーマンのドラムが「速い」と怒られるのだけど、そういう細かいリズムを聞き分けるフレッチャーもすごいなと思う、人間的にはアレやけど。

映画全体:ネタバレ
とにかく戦え、蹴落とせ、というメッセージを強く感じるものの、素直にそのやり方に従う気は起らない。映画だからねーという感じ。唯一、ニーマンから感銘を受けたのは、その努力する姿勢と根性である。文字通り、血の滲む努力。時間を忘れ、わき目もふらず、ひたすらドラムをたたき続けている。トップを取るには、これくらいの努力と、フレッチャーのような予測できない敵との戦いに勝利することが必要なんだということは、わかった。ただ、この映画、あまりに絶賛されすぎかなと思う。ラストが爽快だという評価があるようだけど、私は後味が悪いと感じた。あくまで、個人的な感想である。私も夫も積極的にこの作品は、人には勧めない。最後のシーンで、フレッチャーはニーマンのその根性と演奏を認めたと思うけど(このときのドラムの演奏はよかった、という評価はされたとは思う)、フレッチャーもニーマンも、音楽を抜きにしたら、憎み合っている。彼らはきっと、また、ああいう風に、音楽を挟んで戦うのだと思う。

夫は、ジミヘンの映画を1人で観に行くとのこと。ジェームス・ブラウンの映画もやるみたいだし、最近は音楽映画が多い印象。 

『天皇の料理番』はとりあえず、次回も視聴予定。
by himarayasugi2 | 2015-04-27 08:48 | エンターテインメント | Comments(0)
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