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ヒマラヤスギ雑記

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プロフェッショナル 葛西紀明選手

葛西紀明選手を特集した『プロフェッショナル』を視聴した。以下、とりとめなく感想。

葛西選手は、スキージャンプの日本代表選手である。30代で競技生活から退く選手が多い中、葛西選手は43歳で現役である。これは、この競技の世界最年長である。しかも、直近のオリンピックでは団体が銅メダルで、個人では銀メダルを獲得しており、最年長にして、世界トップ選手なのだ。彼の25年の競技生活は、山あり谷ありで、心が折れそうな出来事が何度もあった。にもかかわらず、現役を世界レベルでずっと続けることができたのは、彼のどういった資質に因るのだろう、というか、彼はどういった人なんだろうと、純粋に知りたくて番組を視聴した。

何度かカメラは、ジャンプをする葛西選手の背後からその様子を撮影していた。スキージャンプという競技の特異性というのは、選手が斜面を滑り降り、時速90キロ前後で真っ白の空に鳥のように勢いよく飛び出し、空に身体を預ける映像が全てだと思う。まさに一瞬の競技で、空に大きく飛翔する様子には、一片の「俗」がなく、清廉そのもの。その美しい飛形は、陸上での壮絶な肉体トレーニングと、綿密に計算された踏切によって支えられており、常に危険と隣り合わせでもある。飛ぶ姿には気高さすら漂う。私の場合、亀のように遅いタイムだったら、なんとか100Mを走ることができるけど、スキージャンプは絶対に出来ない。ジャンプは、陸上で生活している人間が、あえて羽根ももたずに飛ぶことに挑戦するというもので、目指すこと自体が非日常であり、選ばれた人だけの競技だと思う。

葛西選手も番組内で言うように、この競技は、予選1本、本戦2本で勝敗が決まる。踏切は一瞬だ。その一瞬のために、気が遠くなるような時間を陸上でトレーニングを積む。こういう競技生活を彼は25年続けてきている。空に舞う一瞬の価値を知っているからこそ続けられるものなのだろうか。

ソチオリンピックで個人銀メダルを獲得したとき、葛西選手は何も考えず無心で飛べたと言う。他の競技でもたまに聞くのだが、無心になれる瞬間というのが選手には訪れることがあるという。そのような瞬間を空中で迎えられるって、どんなんだろう。そういう経験のある葛西選手は、陸上しか知らない私とは、見える世界も違うんだろうなと思う。

葛西選手が長く競技をトップレベルで続けていられる理由の一つに、番組では彼が常に変化を恐れないことを挙げていた。度重なるルール改変にも適応し、常に新しい飛び方を探す、守りに入らないのだ。唯一、ここだけは私の実生活に引き寄せることができそうと思った。もうアラフィフなので、意識して、新しいもの、新しくて面倒くさいものに接し、今までのやり方をいつでも変えられる柔軟さを持ち続けたいと思ったし、いくつになっても、自分自身を更新していかないと、あかんなぁと。保守的なA型なので、そこは意識したい。

葛西選手は、笑顔が素敵なチャーミングな人である。つらいことを沢山経験したからか、優しくて強い。もう一戦、一戦、これが最後という気持ちで臨まれているのかもしれないけど、彼自身がもう飛ばなくてもいいと思う日は、まだまだ先だと思う。
by himarayasugi2 | 2016-02-09 09:42 | スポーツなど | Comments(0)
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