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ヒマラヤスギ雑記

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父について 2 写真

葬儀のとき、父の棺に何をいれるか、母と相談した。棺には、入れてよいものといけないものがあり、メガネなどは入れられないという。夏のリネンのジャケット、同素材のハンチング帽、亡くなる直前まで読んでいた読みかけの本に、父が履こうと玄関に揃えていた革靴を入れることにした。母が、1枚の写真を出してきて、これも入れたいと言った。

写真は母が高校の時の卒業アルバムに使用した、17歳のころの母のモノクロの写真だった。父が無造作に脱ぎ捨てていたチノパンを畳もうとしたときに、バックポケットに入っている定期入れに母は気づき、なにげに定期入れを開いてみたら、母の高校の頃の写真がそこにあった。母が、高校生か大学生のころに父にあげたものだった。父は50年以上もその写真を定期と一緒に持ち続けていた。母は定期入れにあった写真を見つけたことは、結局父には黙っていたらしい。

「きっとこの頃の私のことが好きだったのよね」と自嘲気味に言う母に、葬儀の担当者のアラフォーくらいの男性が、「今も好きだから、ずっとお持ちになっているんですよ」と言った。写真の母は、シャープな顔立ちでキリっとした利発な感じの女子高生だった。父がずっと写真を持っていてくれたことは、嬉しかったと思う。

最後は、沢山のお花と参列者が父宛に書いた手紙を入れて棺の蓋を閉じた。

お葬式の前、父が夢に出てきた。冬によく着ていたフランネルの緑と黒のチェックのシャツにチノパンを履いていた。すっと立ち上がって私の前を歩いていくので、私が「お父さん、歩けるようになったの?」と訊ねるのだが、父はちらっと私を見て何も言わずに立ち去っていった。








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by himarayasugi2 | 2017-08-24 09:09 | 実家 | Comments(4)
Commented by occhee at 2017-08-24 09:44
お辛いですね。私もこの春母が亡くなりました。長い間施設にいたので、この世にいないとはまだ実感が湧かない状態です。ついお見舞いに行ってしまいそうです。認知症を患いましたが思い出す姿は若い母の優しい記憶ばかりです。
父も実感がわかず、新婚時代からの記憶を書き留めて毎日を過ごしています。
何をしても後悔してしまいますね。
お疲れたまりませんように、ゆっくり日常に戻られますように。
Commented at 2017-08-24 11:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by himarayasugi2 at 2017-08-24 12:15
occheeさん、
ありがとうございます。
亡くなったあとでも、まだ遠いところで生きていると感じますよね。きっと、この感覚はずっと続くのだと思います。

お母様を亡くされたのですね。お母様との思い出を忘れないことが、一番の御供養になると思います。お父様は、今、すごくお寂しいと思います。支えてあげてくださいね。

何をしても後悔はしますね。「そのとき」がいつ来るかわかりませんから当然なのですが、でもわからないからこそ、家族も気持ちを保てるのかなと思います。いつ「そのとき」が来てもいいようにしたいと思いました。

occheeさんのお住まいとかなり近いところに住んでいます。きっと、電車の中とか駅とかですれ違ったことがあるかもしれません。では。
Commented by himarayasugi2 at 2017-08-24 12:33
鍵コメント@2017-08-24 11:58さん、

ありがとうございます。
私はそういう写真のことは、葬儀のときまで本当に知りませんでしたので、父の意外な一面を知って驚いていました。そういう人とはあまり思わなかったからです。母は、ずーっと秘密にしていたのです。

私も実際に父の介護に直面するまで、介護のことや、ものが食べられなくなることの意味などをよく考えたことはありませんでした。そして、またブログにまとめて書く予定ですが、家族が亡くなってからも、いろいろ手続きなどで大変なんだなと思いました。

要介護5ともなると、在宅で看取るのは難しいいと思いました。看取る前に、介護人が倒れることも少なくないんじゃないかと思います。でも、父にはかわいそうなことをしました。

親には、ずっと元気でいて欲しいと願いますが、急に倒れたときなどに備えてある程度は、本を読んだり、施設などの情報を集めたりしていてもいいかなと今回思いました。

何度か私自身が、パニックになりかけた場面もあったのですが、そういうときは心の中で「落ち着いて、落ち着いて」と唱えていました。自分がほんとうに無力だなと何度も思いました。

色々なことがあった夏でした。
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