拍手なし

夫は、10年くらい前から同じ先生についてジャズギターを習っている。関西でジャズを教える先生たちは、横のつながりがあって、互いのライブを見に行ったり、それぞれのジャズ教室の定期演奏会を合同で行うこともよくあるらしい。夫が習っている先生の知り合いの先生は、月に1度、神戸某所のカフェを借りて「ジャズセッションカフェ」を主宰されている。夫もそのカフェの存在は、同じ教室に通っている人に教えてもらった(*1)。人前でジャズを演奏したい人が集う場所で、安い参加料を払えば、誰でも、どの楽器でも参加できるのだ。演奏の機会があまりない人や、度胸をつけたい人や、上手くなりたい人などが来る。上手い人と一緒に演奏したり、人の演奏を見ることは、すごく勉強になるらしい。

参加者が演奏希望曲を主宰者に伝えると、主宰者がその場に集まっている人に「この曲でX(楽器名、ギター、ドラム、ベース、キーボード、管楽器などなどが入る)をお願いできますか」と参加者の都合を訊き、セッションを組む。初心者から、上級者、プロまでジャズが好きな人が集まる。この日、夫は2曲セッションに参加した。夫と同じ先生に習っているKさんもいらしていた。

この日集まっていた人の中に、すごくギターの上手な人がいた。上手いオーラ全開で、あきらかに他の人とは次元が違っていたという。ただ、夫が気になったのは、ベースや他のパートがソロのときのバッキング(伴奏)のときも、ギターの音量を一切下げずにソロの演奏者の音をかき消すような音量で、上手いオーラ全開で弾いていたことだった。「上手なのはわかるけど、他のパートの演奏の邪魔をしているみたいだった、バッキングはソロを引き立てる役目があるのに」と夫。参加者はみな参加料を払っていて、各々に割り当てられているソロ演奏の時間は限られている。なので、他の人がソロを弾いているときは、その人の演奏を尊重するのがマナーである。そのギター演奏者のふるまいについての違和感は、他の参加者も感じていたようだった。その人がギターのソロを「上手いだろう」と誇示しながらドヤ顔で弾いた後、拍手をする人がいなかったという。普通、ソロ演奏の後は、拍手したり、声をかけたりして聴衆はセッションを盛り上げるものらしい。それは、演奏の巧拙にかかわらずに行うものなのだ。

セッションの後、夫とKさんが行った飲みの席で、件のギター演奏者の話題になった。Kさんもあのギター演奏者の態度をこころよく思っていなかったという。「あの場の空気は変な感じでしたよ、あの場の全員が、あのギタリストに対して同じように感じていましたよ、誰も彼のソロのあと拍手しなかったでしょう?」とKさん(*2)。あとでわかったのは、そのギター演奏者は超絶技巧で知られるプロで、ギターを教えている人でもあったらしい。「なら、よけいにああいう態度はよくないですよね」とKさんが言い、夫も同意した。

私は楽器の演奏ができないので、そういう世界の不文律的なことは知らない。ジャズのセッションというのは、みんながよく知っているスタンダードを、はじめて会った人とかと一緒に演奏することが多い自由参加の活動らしい。他のメンバーや聴衆のことを考えずにソロを長々と演奏しないとか、演奏が下手な人をけなしたりしないとかがマナーである(By 夫)。バッキングがソロ演奏の邪魔をしない、というのも、とても大事なマナーみたい。話を聞いていると、そのプロのギター演奏者は、演奏は上手くても、聴衆が自分の演奏をどう感じるかという意識がなかったという印象を受けた。その日のそのギター演奏者は、「演奏が上手い」という誇示と事実確認だけで終わるようなステージだったのだろう。プロならば、聴衆に(聴衆の感情に)作用するような演奏をすべきだったと思う。聴衆にそっぽを向かれる演奏という意味では、「作用」はあったのかもしれないけど。


*1)こういう形式のセッションカフェというのは、東京とかでも沢山あるらしい。そこは小さなカフェだから、ほんとに口コミでジャズ好きが集まっているらしい。
*2)夫は最初、彼自身の年齢(50代)からくる「保守性」も関与しているのかなとちょっと思っていたようだが、29歳のKさんも同じように感じていたことを知って、ほっとしたという。ようするに、演奏をする人なら誰にとっても、そのギター演奏者の行為は、マナー違反だったということだ。


昨夜の『すべらない話』の、小藪の話は面白かった。何度お願いしても、オーベルジーヌの弁当を手配してくれない女の事務員の話なんだけど、こういう人いる。どうしてやらないのか、全然意味わからん人。コミュニケーションが取れていないなーって思うのだけど、こういう人と私とでは、コミュニケーションの概念が違うんだなって今は思う。 







[PR]
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by himarayasugi2 | 2018-01-21 09:43 | 雑感 | Comments(0)