平凡な時間

夕方にケンの散歩のために外に出たら、坂の下の方に自転車が見えた。家の近くのこの坂は、夕方になると保育所で子供をお迎えに行った帰りのお母さんたち、そして少数ながらもやはり保育所帰りのお父さんたちの電動自転車が増える。みな、前と後ろの籠に子供を乗せて、背中にはリュックを背負い、子供と適当に会話をしながら、家に急ぐのだ。その忙しそうなこと。

下に見えた自転車は、ぐんぐん坂道を上って私とケンのすぐ近くまできた。前には2歳くらいの男の子、後ろには4歳くらいの男の子が乗っている。二人ともウトウトとして眠そうだ。お母さんは、すぐ近所にお住いの、私がひそかに「肝っ玉母さん」と呼んでいる人だ。男の子ばかり3兄弟のお母さんで、お父さんも育児に積極的に参加するイケメンである。ご夫婦は共働きで、毎日連携して子供の送り迎えをされている。お母さんは、いつも元気溌剌で、自転車に子供を乗せてぶっとばしている。実は、このお母さんとの今までの会話は、常にお母さんは自転車に乗って移動中のときなのだ。地面に静止して立ったお母さんとは話したことがない。どれだけ忙しいねん。移動中のお母さんとすれ違う一瞬で、「おはようございます!」とか「こんにちは!」とか声を掛け合うのだ。

最近、このお母さんは、その一瞬の会話にもプラスαを加えるようになってきて、先日の朝、地震の直後に会ったときは、私はケンと散歩中で、お母さんは子供を乗っけて保育所に行くところだった。すれ違いざまに、いつものように「おはようございます!」と笑顔で声をかけたら、お母さんは、「おはようございます!揺れましたねぇー」と笑顔ですれ違っていった。坂道を高速で下る自転車だったため、最後の「揺れましたねぇー」の「ねぇー」は、かなり遠くで聞こえた。なので、私が「そうですね」と返事したのが、彼女には聞こえたかどうかわからない。

そしてさっきの夕方散歩で、また保育所帰りのそのお母さんが坂道を上りきったところで出くわしたとき、お母さんは笑顔で「こんにちは!蒸し暑いですね!」と声をかけてくれた。お、そうきたかと思って高速ですれ違うお母さんに聞こえるように「こんにちは!ほんとにそうですね」と早口で返した。聞こえていたかな。お母さんは、あっという間に行ってしまっていたけど。

そのあと、友達と歩いている小学生の女の子とすれ違った。女の子は、小学2年生くらいか、ふっくらとした素朴で可愛らしい子だった。ケンを見て、「うぁ、かわいい」と言って、優しくケンの耳の後ろを撫でてくれた。そうしたらケンは、その女の子の桃のような膝に、鼻を「ツン」と押し付けた。ケンの挨拶である。女の子は、「わー」とかわいらしく笑って、ケンに「バイバイ」と手を振って行ってしまった。

とてもとても平和で、なんにもない日常だけど、この平凡な時間というのは決して当たり前ではなくて、奇跡のようなものだ。明日も明後日もこの奇跡が続きますように。 








[PR]
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by himarayasugi2 | 2018-07-11 19:58 | 雑感 | Comments(0)

日常の雑感、衣食住、犬についての記録。


by himarayasugi2