「常連」考

同期だったM嬢が昔、「私、常連扱いされるのが苦手なんですよ」と言っていた。どういうことかというと、何度目かの飲食店とかで会計のときに「いつもありがとうございます」って言われると、もうその店には行けなくなるらしい。飲食店に限らず、店員に顔を覚えられて、その店員が「あなたのことを覚えていますよ」という意思表示をすると、途端にその店から足が遠のくのだという。店員は、よく来てくれるM嬢を大事なお客さんとして認識しているから、そう言うのだけど。M嬢は、なんか居心地が悪くなると言う。そのときは、「へぇ、そーゆー人もいるのね」くらいに思っていた。

夫にその話をしたら、「ええ、全然その気持ちはわからんわ、僕なんか、世間話とかされたら嬉しいけど」と言う。夫がよく珈琲を買いに行く店では、夫は完全に「常連さん」で、いつも注文よりも多めに豆をいれてくれるし、あと店主(おぢさん)とも仲良くなって、コーヒーを買いにいっただけなのに、1時間くらい話し込んでくることもある。夫は、「常連でいること」を楽しんでいる方だと思う。

私は、M嬢の気持ちもわかる。夫とM嬢の中間くらいかな。店にとったら、常連さんは大事だとは思うけど、飲食店でときおり見る、「常連とそうでない客を区別する」行為っていうのが嫌い。たとえば、レストランの店員が、常連にはポーションが大きめの料理について「ハーフポーションできますから、これとこれはハーフにして、いろいろ種類を頼んでください」と伝えても、常連でない客には、そういうサービスの存在すら伝えないっていうのがある。他にも目撃したこともあるし、当事者になったこともある。そういう行為を見たら、この店は常連だけを大事にするお店なんだなって思うだけ。

何年か前に、夢中になって隔週ごとに予約をして買いに行っていたパン屋があった。すっかり常連さんになっていたのだが、ある日、ためしに違う店でパンを買ったら、そのパンを気に入って、今度はそればっかり買うようになって、前の店に行かなくなってしまった。そうなると、もう、そのパン屋には行けなくなってしまった。他のパンを食べたいなって思っても、なんか、どういう顔して行けばいいのかなと悩んでしまって。気まずいし。以来、気をつけている。今は、パンは3-4軒の気に入った店をローテーションしている。

夏休み前のタフ案件が無事に終了したので、1人でプチ打ち上げにブックカフェに行った。ここはこの2か月くらいの間で3回訪問している。音楽とアート中心の本棚の中に、『ピアノの森』というコミックがあって、「どんなのかなぁ」と手にして以来、『ピアノの森』を読むために通うようになった。面白すぎる。全26巻みたいで、その気になったら(*1)、1日で読める量だけど、漫画喫茶じゃないんだから、いい年した大人がやったら、恥ずかしいし、非常識かなと自制心が働いて、とりあえず1回につき4冊以上は絶対に読まないことをルールにしている。ケーキセットだ、ランチだ、ポットティーだといろいろと注文だってするのだ(当然か)。

ランチセットを完食し、ポットティーを追加でオーダーして、『ピアノの森』を黙々と読む。14巻を読み終わった。会計のときに、「『ピアノの森』、面白いですよね、止まらないですよね」とニコニコと話しかけられ、しどろもどろになる私。店を出るときに「いつもありがとうございます」とついに言われてしまった。M嬢の「常連扱いが苦手」という言葉を思い出した。そうか、こういうことか。

私はM嬢のように、この気持ちのよい、得難いブックカフェ通いをここでやめるつもりはない。ないのだけど、やっぱりちょっと恥ずかしいっていうのもあって、15巻から読みに行くのは、もうちょっと先に延ばそうと思っている。全26巻を読み終わるまで、どうかお店があの場所にありますように。こないだ私以外誰もお客がいなくて、ちと心配。

*1)
20年くらい前に、『ガラスの仮面』をその時点で出ていたもの全巻を大人買いしたとき、『ガラスの仮面』耐久マラソンみたいに、10数時間読み続けたことがあった。私は気をつけないと、ゲームとかにも何時間でも没頭してしまう「依存症」体質なので、意識的にゲームなどからは遠ざかっている。唯一やるゲームは、「フリーセルソリティア」だけ。 









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by himarayasugi2 | 2018-07-14 15:10 | 雑感 | Comments(0)

日常の雑感、衣食住、犬についての記録。


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