日曜の日経朝刊を読んでいたら、シックな佇まいの白人女性の写真が目に入った。ファッション雑誌のエディターだろうか。ファッションのコラムだと思い(日経は日曜の朝刊はファッションや音楽、映画に関するコラムがある)、記事に目を落とす。
ぱっと目に入った写真はこちら。
(一部をトリミングして、加工している)
この写真の女性は、本名アンナ・ソロキン、28歳のロシア人である。が、彼女は自身をアンナ・デルビーというドイツ資産家の跡取り娘だと偽り、ニューヨーク上流階級の銀行やホテルの支配人や友人らをだまして、3000万円の詐欺を働いた罪で逮捕され、現在裁判中である。ようするに、信用詐欺師である。写真を見た印象では、知的でシックでエレガントな女性と思った私、絶対だまされそうである(だまされる前にニューヨークの上流階級に入る必要があるが)。黒縁のメガネは知的でおしゃれな感じだし、ベージュの薄手のいかにも質のいいシンプルなニットを「ぱさっと」身にまとい、髪も「さりげなく」無造作におろしていて、流行を追ってないけど、全体として「なんとなく」お洒落だと思ったのだ。私の受けた印象を裏付けるかのように記事は続く。以下、引用。
(ソロキンは)パーカーとスニーカーを身に着け、無邪気な天使のような顔立ちで「セリーヌ」の黒縁メガネをオタク風にかけていた。はたからは高級ホテルを転々としながら流行のレストランで食事をする、気負いのない「ご令嬢」に見えたそうだ。(中略)問われている罪はサインや文書の偽造など単純なものだ。それより彼女が才覚を発揮したのは、大金持ちにありがちな無頓着さを装った見かけだった。髪やまつ毛の手入れには大金をかけながら、服装は用心深く地味にしていた。ウィリアムズ(ヒマラヤスギ註:米ファッション誌の編集者でソロキンの元友人)によると「肩の力の抜けたぜいたくさを体現していた」という。綿密に計算した格好で、人々をだましてみせたのだ。(ソース:日本経済新聞2019年5月12日朝刊、12頁)
記事によると、その後ソロキンは、ブランドずくめの派手で「いかにもお金持っています風」の装いで法廷に出るようになったらしい。ソロキンは、「魅惑的な若き詐欺師」というイメージを構築し、出所後に有利にしようと考えているとか(映像化が決まっているとかとか)。記事に掲載されていたソロキンの写真のキャプションには、「裁判の間に撮影された」とあるが、この写真はまだシックなご令嬢バージョンだと思う。記事にはもう1人詐欺で逮捕された女性が紹介されている。彼女はエリザベス・ホームズ35歳で、セラノスの創業者である。画期的な血液検査技術を開発したと偽り、投資家らから資金を集めた。記事によるとホームズは、周囲を信じさせるために、スティーブ・ジョブズ風の黒いタートル、深紅の口紅に、作り込んだバリトンボイスで話をしたという。
大金持ちのスタイルとして、流行を追わずにあくまでさりげなく高品質のものを身に着ける、というのはなんとなくわかる。昔、『運命の逆転』という映画を観たとき、大富豪の女性役のグレン・クローズの家での普段着(というか、部屋着)が、グレーのカシミアのニットに確か、タイトスカートだったのが、かなり印象的だった。検索してみたら、それにパールのネックレスをつけている画像を見つけた。部屋着にパールとカシミアか……(遠い目)。詐欺を働いた彼女らの外見の作り込み方は、とても興味深い。髪とまつ毛の手入れをぬかりなく行い、声は低く、流行を追わずにシックに……、なるほどー、である。彼女らの場合、黒縁メガネや黒タートルもモチーフとして効果だったようだ。
まつ毛のお手入れはよくわからないけど、無頓着を装ったさりげないヘアスタイルが映えるには、髪自体がボリューミーで、艶がないとだめなのね。そして声は低く。そういうわけで久しぶりにヘナのトリートメントをする。ヘナは1時間近く放置しないとだめなので、頻繁にはできないけど、髪が元気になるというか、艶も出る。詐欺師の記事を読んで髪のお手入れをしたのだった。ちょっとずれてる。
週末、夫が某音楽祭に出演した。久しぶりに見に行く。なんと、夫の母、姉、妹も来ていた(わりとすごい絵だと思う)。懐かしい会社時代の友人にも会えて話ができた。近くのアートマーケットでかわいいブローチを買う。お天気もずっとよくて楽しかった。
(柴犬のフェルトのブローチ。冬のコートにつけよう!夫が欲しがっていて困っている。夫よ、どこにつける気なのだ。)
おまけ
ついに、1本千円の「明日の食パン」を買ってしまった。端っこだけ切って冷凍する前に食べたけど、美味しい。でも、800円+αの乃が美の食パンとどれだけ味で差別化が出来ているのかまだトーストしてないからわからないけど。夫によるとここはコーヒーが100グラム千円以上もしていたらしい。高い値段をつける戦略というのも存在していることは知っているけど、戦略なのかちがうのか。関西の人は常にコスパが頭にあるから、美味しくないとね。コーヒーは2-3軒のお気に入りをローテーションしているけど、100グラム千円っていうのは普段のコーヒーにするには高いかなぁ。
(これがその食パンである)
(お洒落な店内。)
実食したら、また記録する予定。
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