夏は終わっている。でも暑すぎることはないけれども涼しくもなく、エアコンをつけるのは躊躇ってしまう今の季節は最もしんどい。体が重くて、やる気が起こらないのだ。窓を全開にしていると、近所の金木犀の大木から甘酸っぱいなんとも言えない香りが部屋に漂ってくる。ここから気温が下がるのは案外早いと思うのだ。
NHKの『趣味どきっ!』で夏の台所を特集していることを知り、慌てて録画を始めている。ただ、第一回の高橋みどりさんの台所は見逃してしまった。再放送やるのかな。
料理家の渡辺有子さんの台所まで視聴した。渡辺有子さんの自宅の様子が見たかったな。番組ではお店の台所紹介だった。お店に併設されたものも素敵な台所だとは思うけど、所詮は営業施設、生活感が全くない。逆にあれが自宅だったらすごいと思う。どこの家の台所にでもあるような、「これ、なに?」みたいなもの(謎の栓抜き、かわいいだけで実用的でない瓶、焦げた木の鍋敷きとかとか)はノイズかもしれないけど、ノイズが少しあったほうが、その場所は温もりを持つと思う。とはいっても、器、いいなぁ。欲しいなぁ。
ここまでの回で最も好きな台所は、料理研究家で作家の樋口直哉さんの台所である。台所の眺めがすごくいいし、いかにもおいしいものが出てきそうで、録画を見ながら「いいなー、いいなー」を連発。樋口さんの「書いてある通りに作ったらおいしく作れるものが、よいレシピ本だ」という言葉が印象的だった。そのとき樋口さんはロブションのレシピ本を手にしていた。自分の腕を棚に上げるけれども、確かに書いてあるとおりに作っても全然おいしく作れない本ってある。意外とファッショナブルな装丁の簡単シンプルおしゃれがウリの本ほど、失敗率が高かったりする。おいしく作れるからといって、ロブションの料理を作ろうとも思わないけれど。
次回は建築家の阿部勤さんのご自宅の台所にカメラが入る。阿部さんのご自宅はそれこそ雑誌に動画にと何度も目にしているけど、台所だけにフォーカスしてご本人が語ってくださるのを見るのは初めて。すごく楽しみにしている。
サナエノミクスというネーミングがイケてると本気で思っているセンスが本気で嫌いだ。最初に耳にしたときになぜ、ここまでこれに嫌悪感を持つのか自分でも理由がよくわからなかった。うまく表現できないけど、還暦のぶりっ子みたいに感じたからだと思う。
今学期も担当するオムニバス講義はすべてオンラインになると連絡を受ける。新規感染者数が減っているからといっても油断できないのだ。巷の噂ではもとに戻るのはあと3年くらいかかるとか。3年かー、長い。
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