日曜日、三宮と元町をうろうろしたのだ。珍しく夫も一緒である。夫と私は三宮と元町では行きたいところが全く重ならないので、だいたい行くと「じゃあ1時間後にジュンク堂の3階でね」という感じで一端解散する。そして再集合して「ちょっとお茶でも飲む?」とか「晩御飯の買い物でもして帰る?」となる。夫は「自由行動」のときは楽器屋さんに行って、ギターの試奏をしたり、楽譜をチェックしたり、CD屋さんでこれまたCDをチェックしたりという過ごし方をする。私は元町なら小さな店を1軒、1軒なめるようにチェックしたり、大丸の靴売場で人ごみに酔いながら靴を試着したり(靴の試着はものすごく体力を使うと思う。特にブーツを10足試着したあとは、倒れそうだった。)する。この日曜日は久しぶりに元町商店街の中にあるShirasa(シラサ)というアートの本を中心に扱う古書店になにか掘り出し物がないか見にいった。夫はその間、すぐ隣のヤマハでギターを触ったりしていた模様。
Shirasaでは以前、大好きな画家の画集(ほぼ新品状態)を見つけたのだが、そのとき持ち合わせがなかったため後日行ったら売れていたという哀しい思い出があるのだ。こういう店では本との出会いはまさに一期一会。買うつもりで覗くのなら最初からまとまった金額は握り締めていくべきだった。この日はまたあの画家の画集がないかな、とか、他の好きな画家の画集もないかなと見にいった。そちらはなかった。ルネサンスからバロック初期の画家についての本を見つける。飾り文字のように美しい筆記体で本の元の所有者が書き込んでいるページがあった。ほとんど芸術である。迷ったけれども、結局やめておいた。店の奥には2階に上がる階段があって、2階のギャラリーではその日が最終日の展示があった。「よかったらどうぞ」と声をかけてもらっておそるおそる上がっていった。
ギャラリーではスタイリストの高橋みどりさんが普段愛用している衣類の展示即売会が行われていた。実は、昔雑誌『クーネル』の創刊号を、偶然スーパーで買ったことがある。そこに高橋みどりさんの当時のお住まいの様子が掲載されていて、その部屋がさっぱりとして趣味がいいなと思ったのだ。で、高橋みどりさんが何をするヒトかということもそこで初めて知った。その後彼女の『伝言レシピ』というお料理本も一冊購入して、結構活用している。
ギャラリーの展示では、手織りマフラー、毛糸の帽子、それに洋服が並べてあった。まぁ、気軽に買えるお値段ではなかったけれども、シンプルで品質のいい感じであった。マフラーの手触りとかもすごくよかった。ギャラリーはおそらく普段からこの衣類の作り手を知っていてファンであるか、高橋みどりさんのファンらしき女性で賑わっていた。ギャラリー奥に高橋みどりさんがいらした。ショートカットに黒縁眼鏡で、さっぱりとしていてお洒落な人で、大きな声ではきはきと楽しそうにお喋りされていた。暖かいオーラがある。そしてその横には白髪のショートカットで(眼鏡はしていたかどうかよく覚えていないけれども)、存在自体がとてもエレガントな女性が立っていた。記憶が曖昧だけど赤いカーディガンを羽織っていたと思う。展示の関係者のようだった。とにかく只者ではないという、お洒落オーラを発散されている。
年齢を重ねるごとに、よい意味で同性の目を釘付けにするような女性になりたいなぁといつも思う。高橋さんも、その白髪の女性も清潔感とフットワークの軽さが共通している。まとう空気が軽やかでお化粧臭くないのだ。それからやっぱりセンスが若々しくさりげないのだ。あまりジロジロ見るのも失礼だし、さっと展示を見てまた1階の古書を見ていた。
二人ともショートカットがよくお似合いだった。素敵。私は高橋みどりさんより少し長めのショートカットなのだけど、ああいう眼鏡を合わせるとなかなか素敵だなとか、白髪にすると鮮やかな色が似合うのだなとか、ほんの数秒しかお二人を見なかったのだが、いろいろ勉強になった。活かせるといいけど。がんばる。
お昼の記録:
偶然入ったお店で自然薯定食をいただく。麦ご飯(お代わり自由)、とろろ(出汁でといている)、大根柚子(さっぱり爽やか)、おそらく自家製の昆布の佃煮(味が濃くなくていい)、鰆の西京漬、おから、それから卵焼きと魚のすり身を併せた感じのもの、と大根汁がついて997円だった。めっさ美味しかった。夫はお代わりしていた。私も米粒ひとつ残さず完食した。お店も広くて居心地がよい。
(撮影者が未熟ゆえにイマイチおいしそうに見えないけど、本当に美味しかった。)